弁護士法人PRO | 人事 労務問題 中小企業法務 顧問弁護士 愛知 名古屋 | 伊藤 法律事務所
弁護士コラム
Column
Column
公開日:2023.11.17
企業法務国際取引・海外企業との交渉のポイント
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
ビジネスのグローバル化が進んでおり、今や多くの企業が海外企業との取引を行っています。
海外企業との国際取引により、より大きな市場で自社の商品・サービスを展開できるため、国際取引のメリットは大きいです。
しかし、海外の企業と取引する以上、その国の法令、文化の違い、政治的な問題などの多くのハードルがあります。
今回は、海外企業との国際取引にあたってのポイントや注意点をご紹介します。
国際取引でお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.法令・制度の違いを意識する
当然ですが、国によって法令は異なります。
それぞれの国家は独立しており、独自の法や慣習を持ちます。
このような国家の独立性・独自性が国際取引の最も大きな障壁となります。
中には法の整備が整っておらず、そもそも「法律」という概念が誕生してから歴史の浅い国もありますので、このような国の企業と取引する際はより一層の慎重さが求められます。
また、制度も国によって異なります。
例えばアメリカは連邦国家ですから、連邦法が存在しますが、アメリカ内部の50の州にはそれぞれ主権があり、独自の法令が定められています。さらに、各州は独自の司法制度も有しています。
日本における地方自治体の条例とは、強制力・適用範囲のどれをとっても比べものになりませんから、アメリカの州=日本の都道府県のようなイメージでいると手痛い損害を被るリスクがあります。
例えば香港は、中国の特別行政区でありながらイギリスのコモンローによる統治が認められるという1国2制度が敷かれているため、香港法のみならず中国の影響も受けます。
2.文化の違いを意識する
日本と諸外国とでは文化・思想・風土が全く異なります。
日本国内におけるのと同じように「謙虚さ」や「和」を重んじていると大きな損失につながりかねません。
ここでは、文化的な違いに由来するポイントをご紹介します。
① 言うべきことはハッキリ言う
諸外国の文化や風土は日本のそれとはまったく異なります。
海外企業との取引では、根本的な思考が異なる人とやり取りをすることになるため、「言うべきことはハッキリ言う」ことが重要です。
激しい言い合いもよくあることですから、“言い過ぎではないか” “こんなにハッキリ言ってしまって大丈夫だろうか” といった不安は不要です。
日本人同士のように、 “和を重んじる” “多くを語らずとも意思疎通ができる” などとは夢にも思ってはいけません。
日本におけるビジネス感覚は通じないものとして準備しておく必要があります。
② 約束(契約)したら紙に残す
何かしらの約束をしたら、必ず紙に残しましょう。
後から約束を反故にされたり、約束と異なる取引を進められたりするおそれが高いからです。
ここまででご紹介した「言うべきことはハッキリ言う」「約束したら紙に残す」は、国際ビジネスの現場では当然のことです。遠慮する必要はまったくありません。
むしろ、“和”を重んじることは自社の大きな損失を招きます。
③ 信用してはならない
国によっては、規範意識が低いところもあり、ビジネスの現場であっても詐欺や大口をたたいて取引をもちかけてくるケースも珍しくありません。
また、相手方の規範意識が低いと、“契約を破った方が得”と判断した場合には、簡単に契約違反を犯されることもあります。
相手の発言や姿勢は常に疑い、自社側でセーフティをかけておく必要があります。
あえて強い口調で断定しますが、取引相手を信用してはなりません。性悪説を徹底してください。
3.契約書について
日本国内企業同士の取引でも契約書は重要ですが、海外企業との国際取引では、更に契約書の重要性が高まります。
その主な理由は下記2点です。
① 文化や風土が異なる相手と慣れない言語でコミュニケーションをとることになり誤解や勘違いが生じやすいため、口頭のやり取りではなく約束事を書面に残す必要性が高まる。
② 国際取引では数多くの約束事が必要となるため、約束事を両者が客観的に認識できる形で可視化するべきであり、可視化の手段としては契約書が適切。
必要な事項を網羅的に盛り込んだ結果、契約書が書籍なみの厚さになるケースもあります。
国際取引では、取引を進めるうえで契約書が全てのよりどころとなるため、契約書が長大になることは致し方ありません。
4.まとめ
今回は、海外企業と国際取引を行う際の注意点・ポイントを総論的にご紹介しました。
海外企業と日本の企業とでは、法令・制度・文化・慣習・ビジネス感覚の全てが全く異なるため、日本企業同士の取引と同じ感覚で取引を進めてしまうと、自社に大きな損失を発生させるリスクがあります。
とはいえ、海外企業と取引を行うことは商圏拡大に繋がりますし、現代では多くの企業が海外企業と取引を行っています。
海外企業との国際取引に不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
オンライン会議・
チャット相談について
まずはお気軽に、お電話またはフォームよりお問い合わせください。