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弁護士コラム
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公開日:2025.2.18
企業法務【はじめてのМ&A】デューデリジェンス(DD)のポイント
弁護士法人PRO 弁護士の柏木太郎です。
М&Aは、企業を成長させるための有効な手段であるのみならず、
ここ最近では後継者確保の目的で行われることも多いです。
中小企業でも盛んにМ&Aが行われており、より身近な存在になったといえます。
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aを行うに当たって必須ともいえる法務デューデリジェンス(DD)について、DDにより発見されるリスクや課題の主な項目ごとに重視すべきポイントをご紹介します。
М&Aでお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
DDの目的や流れはこちら
1.組織や株式
買収対象会社の登記簿、定款、就業規則等の規程類、株主総会議事録等の議事録類、株主名簿や新株予約権の発行に関する書類等の株式関係を主に調査します。
同時に、対象会社のキーマン(実質的な決済権者や事業の中心人物)も見つけられると、M&Aをスムーズに進められます。
これにより、組織の全体像をはじめ、役員の職務執行の適切性、株主総会や取締役会の運営の適切性、株式の発行等の適切性をチェックします。
特に中小企業では、株主総会や取締役会が開催されていない、株式や株券の発行が適切に行われておらず株主と株式数が不明といった事態が散見されますので、DDの第一歩として必須の調査項目です。
2.許認可
対象会社が建設業、廃棄物処理業、宅地建物取引業等、営業のうえで許認可が必要な事業を行っている場合、必要な許認可を得ているかを調査します。
許認可の申請書類や許可証、主務官庁からの調査や指導に係る書類が調査対象です。
また、M&Aの事前又は事後に必要となる届出等の手続きも確認しましょう。
3.契約
取引先との契約書を調査します。
特に、チェンジ・オブ・コントロール条項(COC)が重要です。
COCとは、会社の支配権に変動が生じた場合、事前の通知や他方当事者の承諾を求めたり、契約を解除できるようにする条項です。
買収対象会社が締結している契約書にCOCが規定されている場合は、それに従った対応が求められます。
なお、大量の契約書の全てを調査することは現実的ではありませんので、取引金額の上位のみにDDのスコープを限定するケースもあります。
4.資産・負債
資産については、
不動産も動産も所有権の所在の確認と担保権の有無が基本的な調査対象です。
賃借している動産はリース契約の内容も確認します。
出資をしている場合は、追加出資義務の有無やリターンの内容を確認しましょう。
負債については、
金融機関等からの借入とその担保、社債を発行している場合は社債に関する資料が主な調査対象です。
借入等の資金調達に係る契約においてもCOCが定められていることがあります。
違反すると即時の一括返済が義務付けられる可能性もあります。
5.人事労務
対象会社の従業員の人数・構成、雇用契約、労働協約、36協定、就業規則、賃金規程、労務管理の方法・記録を確認し、労働関係法令に則った労務管理が為されているか、未払の残業代が無いか等を調査します。
特に中小企業の場合は労務管理が適切に為されていないケースが散見され、この場合は未払残業代が莫大な簿外債務として存在することになります。
また、労働関係法令の違反を理由に刑事罰が科される事案も発生していますから、DDのスコープを広げて入念に調査すべき項目です。
特許権、意匠権、商標権、著作権等の知的財産権の有無や契約を確認します。
自社で保有する知的財産権については登録原簿等の資料を、他社から使用許諾(ライセンス)を得ている又は他社にライセンスを付与している知的財産権がある場合はライセンス契約の内容を確認しましょう。
知的財産権を巡って紛争(知財紛争)になることも多いですから、知財紛争の有無やそれが事業に及ぼす影響についても確認する必要があります。
対象会社が抱えている
訴訟、トラブル、クレーム等の有無と、それらにより対象会社が負うおそれのある債務の内容・金額を調査します。
また、このような紛争を抱えている場合、それに対する処理方法の適切性も調査しなければなりません。
DDに当たっては、現実化している紛争だけでなく、潜在的な紛争リスクの調査も求められます。
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aを行ううえでの法務デューデリジェンスの代表的な調査項目とポイントをご紹介しました。
特に買手側にとっては、М&Aを成功させるためには 限られた時間と予算の中で適切にDDを行う必要があります。
М&Aに精通した弁護士へ法務DDを依頼すれば、М&Aを成功に導くための効果的なサポートを受けられます。
М&Aに不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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