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弁護士コラム
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公開日:2025.9.29
企業法務【起業家必見】アーリーステージのスタートアップに求められる法務対応
弁護士法人PROの弁護士柏木太郎です。
スタートアップは、革新的なビジネスモデルや技術を武器に成長を目指す企業であり、その立上げや成長の過程で多種多様な法的課題に直面します。
法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、
事業の成長や競争力強化の基盤となる重要な経営機能です。
本記事では、特に起業直後のアーリーステージにあるスタートアップに求められる法務対応はどのようなものなのか、弁護士の関与についても触れながら解説します。
スタートアップ全般に求められる法務対応の総論はこちら
1.スタートアップの成長段階
スタートアップの成長段階は、5段階に区分けされます。
今回は、②アーリーステージに求められる法務対応をメインに解説します。
アーリーステージは、
起業直後の事業基盤を固めつつ成長に向けて準備を進める時期のスタートアップを指します。
“事業基盤”というと収益獲得に目がいきがちですが、法務対応も“事業基盤”の一つです。
ビジネスを円滑に成長させるためには、法令遵守=コンプライアンスが必須ですし、
許認可取得やM&Aなど事業の節目で自社が適切に法務対応できているか否かをチェックされることも多いです。
単なるリスク回避のためだけでなく、自社の成長のためにも、法務対応はマストと言えます。
シードステージに求められる法務対応はこちら
2.アーリーステージに求められる法務
(1)コーポレート・ガバナンス
会社設立後は、会社法に従い適切な機関設計とその運営を行っていかなければなりません。
株主総会や取締役会等の手続きや決議事項を遵守するのはもちろん、それらの議事録の作成・保管も求められます。
ガバナンスは軽視されがちですが、
ビジネスに参入するための許認可の取得・上場やM&Aの際の審査などの場面で議事録の提出を求められるケースもあります。
ガバナンスを怠ると、後々の重要場面で大きな不利益となって自社に跳ね返ってきます。
適切なコーポレート・ガバナンスが為されていれば、自社の信用性が向上し、収益向上・人材獲得といったメリットにも繋がります。
(2)知的財産権の確保
スタートアップは、新しいアイディアや技術で事業展開することも多く、新しいアイディアや技術はスタートアップの競争力・収益力の源泉でもあります。
きちんと知的財産権を確保しておかないと、せっかくのビジネスモデルを大手にマネされてしまいます。
ひとたびマネされてしまえば、
規模感やネットワークで劣るスタートアップが巻き返すことは難しいです。
そこで、自社のビジネスモデルやブランドを守るためにも、知的財産権の確保は必須です。
例えば、商品やサービスの名称の商標権を登録する、新しい発明や技術につき特許権を取得するといったことが考えられます。
きちんと知的財産権を取得しておけば、マネされることを防ぐ盾としてだけでなく、コピー商品が出回ってしまったときの対抗手段となる剣としても使えます。
(3)情報セキュリティ
事業を開始すると、
顧客リストやノウハウなど、外部には公開されていない(公開してはならない)情報が蓄積されていきます。
このような秘密情報が外部に漏れないよう、自社の情報セキュリティを強化することが求められます。
法務対応としての情報セキュリティの典型例は、就業規則、従業員との雇用契約書、取引先との契約書に秘密保持義務を明記することです。
実務では、
取引に関する契約とは別個に秘密保持契約書(NDA)を締結することも多く見られます。
それだけ、情報は重要なものと位置付けられているのです。
情報漏洩や目的外利用を防ぐためにも、情報セキュリティは早期から取り組む必要があります。
3.弁護士の関与
スタートアップの支援に精通した弁護士であれば、アーリーステージにあるスタートアップに求められる法務対応の全てに対応できます。
コンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)の意識が高まっている昨今、スタートアップにとって弁護士を自社に関与させることは必須といっても過言ではありません。
実際、令和7年に法務省が実施したスタートアップに対するアンケート調査によれば、過去に弁護士を利用したことがあると回答したスタートアップは90%を超えており、スタートアップにおける法務の重要性や弁護士の必要性の認識が高まっているという結果が出ています。
4.まとめ
スタートアップにおける法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、 事業の成長・競争力強化・イノベーション推進の基盤となる経営機能です。
予防法務・戦略法務・経営法務の三本柱を意識し、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備を進めることが、持続的な成長と企業価値向上の鍵となります。
当事務所はスタートアップの支援に積極的に取り組んでいます。
大企業への対応とは異なり、法的観点のみならず経営者のマインドを理解・共感したサポートを行い、早いレスポンスでビジネスのスピード感を損なわせずに対応しています。
弁護士の活用を検討しているスタートアップの皆様は、ぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。
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