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弁護士コラム
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公開日:2025.10.17
企業法務【起業家必見】ミドルステージのスタートアップに求められる法務対応
弁護士法人PRO 弁護士の柏木太郎です。
スタートアップは、革新的なビジネスモデルや技術を武器に成長を目指す企業であり、その立上げや成長の過程で多種多様な法的課題に直面します。
法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、 事業の成長や競争力強化の基盤となる重要な経営機能です。
本記事では、特に成長段階のミドルステージにあるスタートアップに求められる法務対応はどのようなものなのか、弁護士の関与についても触れながら解説します。
スタートアップ全般に求められる法務対応の総論はこちら
1.スタートアップの成長段階
スタートアップの成長段階は、5段階に区分けされます。
今回は、③ミドルステージに求められる法務対応をメインに解説します。
ミドルステージとは、シード、アーリーステージを経て事業が軌道に乗り始め、成長拡大フェーズに入った段階を指します。
売上、顧客、従業員が増え組織が拡大しますが、それに伴い対内的にも対外的にもトラブルを抱えやすくなることは避けられません。
また、法務対応もシードステージやアーリーステージに比べて複雑かつ専門的になります。
ミドルステージでは、これまでのやり方を見直しつつ、更なる成長に備えるための高度な法務法対応が求められます。
シードステージに求められる法務対応はこちら
アーリーステージに求められる法務対応はこちら
2.ミドルステージに求められる法務
(1)資本政策
ミドルステージに入ると、他企業やVCから出資を受けることもあるでしょう。
出資を受ける方法としては、優先株式の発行や投資契約の締結が一般的です。
それに関連して、株主間契約や財産分配契約等が締結されるケースもあります。
これに当たっては、
株式の発行条件や契約条件が自社に不利にならないよう、内容をよく理解・確認する必要があります。
また、株式を発行した相手は自社の株主となりますから、自社に組織に適合する株主総会の開催と運営も行わなければなりません。
種類株式の発行のため定款変更も必要となるケースもあります。
第三者からの出資を受けると株主構成が多様化するため、各種契約で約束した事項や会社法上の手続きを怠らないよう、 資本政策と会社法・契約対応を緊密に管理する必要があります。
(2)人事労務の整備
ミドルステージになると多数の従業員を雇用しているでしょう。
法令遵守と労使トラブル防止のため、人事労務の整備の重要性が増してきます。
まず、雇用契約書や労働条件通知書は当然として、常時10人以上の従業員を使用する事業場では就業規則の作成と労基署への届出が義務付けられます。
テンプレではなく、自社の実態に即した就業規則を作成しましょう。
時間外労働が発生する場合は36協定の締結も必要です。
就業時間の記録・管理も重要です。
タイムカードやアプリを用いて、勤怠管理を徹底しましょう。
残業した従業員に対しては労基法に準拠した割増賃金を支払わなければなりません。
これが甘いと、
多額の未払残業代請求訴訟を提起される、上場審査で管理体制を問題視される、M&Aで買取額を減額されるといった不利益を被ったりするリスクがあります。
また、入社する従業員も増えれば退社する従業員も出てくるでしょう。
退社する従業員に対しては、退社後の秘密保持義務や競業避止義務を課す等の防衛策が必要となります。
(3)契約書のブラッシュアップとチェック体制
事業拡大に伴い、他社と締結する契約の数や種類が飛躍的に増えます。
ミドルステージでは、契約書のブラッシュアップが必須です。
自社で契約書ひな形を準備しておいた方が交渉を有利に進められやすいですし、取引先の契約書をベースにする場合でも自社のひな形と比較してリスクや問題点を発見できるようになります。
また、取引の数が増える一方でビジネスのスピード感を損なわないようにするためにも、契約書のチェック体制を整備しましょう。
自社で人材確保が難しければ外部の弁護士へアウトソーシングすることも考えられます。
3.弁護士の関与
スタートアップの支援に精通した弁護士であれば、
ミドルステージにあるスタートアップに求められる複雑かつ専門的な法務対応に対応できます。
コンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)の意識が高まっている昨今、スタートアップにとって弁護士を自社に関与させることは必須といっても過言ではありません。
実際、令和7年に法務省が実施したスタートアップに対するアンケート調査によれば、過去に弁護士を利用したことがあると回答してスタートアップは90%を超えており、スタートアップにおける法務の重要性や弁護士の必要性の認識が高まっているという結果が出ています。
4.まとめ
スタートアップにおける法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、 事業の成長・競争力強化・イノベーション推進の基盤となる経営機能です。
予防法務・戦略法務・経営法務の三本柱を意識し、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備を進めることが、持続的な成長と企業価値向上の鍵となります。
当事務所はスタートアップの支援に積極的に取り組んでいます。
大企業への対応とは異なり、法的観点のみならず経営者のマインドを理解・共感したサポートを行い、早いレスポンスでビジネスのスピード感を損なわせずに対応しています。
弁護士の活用を検討しているスタートアップの皆様は、ぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。
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