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公開日:2026.1.23
企業法務下請法改正|下請法から取適法への改正ポイント【規制内容の追加】
弁護士法人PROの弁護士の柏木です。
令和8年1月1日から、改正された下請法=製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(略称は取適法(とりてきほう))が施行されます。
改正の重要ポイントは①適用対象の拡大 ②規制内容の追加 ③執行の強化等の3つです。
本記事では、②規制内容の追加について解説します。
従来、下請法には親会社の禁止事項が定められていましたが、改正により禁止事項が追加されました。これまでよりも禁止事項が増えるため、事業者にはよりコンプライアンスが求められます。
改正下請法に対応した体制を構築したい事業者の方は、お気軽に弊所までご相談ください。
1.支払手段としての手形等の禁止
旧下請法では、手形による支払いは一部例外を除き認められてきましたが、長期の手形サイトによって受託事業者(下請事業者)が資金繰りに苦しむケースが後を絶ちませんでした。
特に中小企業にとっては、手形の割引手数料が重いコストとなり、長期の手形サイトがキャッシュフローを悪化させ、下請企業の存続や取引の継続を脅かす要因となっていました。
今回の改正では、こうした実態を踏まえ、製造委託等代金の支払手段として手形を用いることが禁止されました。
さらに、電子記録債権や一括決済方式についても、物品等の受領日から60日以内に金銭に引き換えることが困難なものは「支払遅延」に該当し禁止されます。
つまり、手形は一切禁止、手形以外の方法も受領日から60日以内に金銭と引き換えることが困難である方法は禁止、ということです。
2.報復措置の禁止
旧下請法でも下請事業者(受託事業者)に不利益を与える行為は禁止されてきましたが、改正では「報復措置の禁止」がより厳格になりました。
旧下請法で定められていた報復措置とは、下請事業者が公正取引委員会への申告や親事業者との交渉を行ったことを理由として、取引停止や発注量の削減・取引条件の悪化などの不利益な取扱いを行うことを指していました。
今回の改正で、公正取引委員会への申告に加え、新たに「事業所管省庁に知らせたことを理由」とする不利益な取り扱いも禁止事項とされました。
受託事業者から見ると、通報窓口に事業所管省庁が追加されることで通報の間口が広がるとともに、場合によっては中小企業庁よりも事業所管省庁による指導の方がダイレクトな改善が見込めますから、適切な取引条件の実現へ向けより実効性を持たせる改正といえるでしょう。
他方、親事業者(委託事業者)としては、中小企業庁だけでなく事業所管省庁からも指導や取締りを受ける可能性が生じましたから、このことを念頭に、これまで以上のコンプライアンスが求められます。
3.協議に応じない一方的な代金決定
今回の改正で、委託事業者(親事業者)が協議に応じず一方的に代金を決定することが明文の禁止事項として追加されました。
即ち、委託事業者が受託事業者(下請事業者)から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりするなど、一方的に委託代金を決定することは禁止されました。
旧下請法下では、原材料費やエネルギー価格の高騰が続く中、下請事業者から価格転嫁の要請があっても、親事業者が十分な協議を行わず、従来価格を一方的に維持するケースが問題となってきました。
今回の改正では、こうした行為を「実質的な買いたたき」として厳しく捉え、価格決定に当たっての誠実な協議が重要視されています。
受託事業者としては価格転嫁等のために積極的に交渉を申し入れることができます。
他方、親事業者としては、誠実に協議に臨み、必要な説明を行う必要があります。
しかし、親事業者としても値上げまでは義務付けられていませんから、値上げができないならばその理由と根拠をきちんと示せば、取適法違反にはなりません。
4.まとめ
下請法はビジネスを適法に営むうえで重要な法律ですから、今回の改正は実務に与える影響が非常に大きいです。
下請けへ発注する場合は取適法を遵守するよう細心の注意が必要ですし、受託事業者=下請けとして製造委託等を受託する場合はきちんと取適法に準拠された取り扱いがなされているかチェックしなければなりません。
昨今は公正取引委員会による取締事例も多く見受けられ、改正後は所管省庁による指導も開始されます。
いずれの立場でも、自社を守るためには取適法の遵守が強く求められます。
当事務所は取適法への対応支援に積極的に取り組んでいます。
発注側・受託側のいずれであっても、取適法へきちんと対応したいとお考えの事業者の皆様は、ぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。
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