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共同親権とは?――制度の概要と導入の背景をわかりやすく解説
弁護士法人PROの弁護士 沢津橋信二です。
2024年5月、民法改正により、日本でも「共同親権」が導入されることになりました(施行は2026年4月1日です)。
これまで日本では、離婚後は父母のどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権制度」が採用されていましたが、今後は離婚後も父母が共同で親権を持つ選択が可能になります。
本コラムでは、共同親権とは何か、なぜ導入されたのか、どのようなメリット・課題があるのかについて、わかりやすく解説します。
1.共同親権とは?
共同親権とは、離婚後も父母の双方が子どもの親権者となり、子どもの養育や重要事項について共同で決定していく制度です。
親権には、主に次のような
権限・責任があります。
従来の日本では、離婚後は父または母のどちらか一方しか親権者になれませんでした。
しかし共同親権制度では、
離婚後も両親が親として関わり続けることが可能になります。
2.なぜ共同親権が導入されるのか
導入の背景には、次のような事情があります。
(1)離婚後の親子交流の問題
単独親権制度では、親権を持たない側の親が子どもと会えなくなるケースが少なくありませんでした。
いわゆる「面会交流」のトラブルです。
特に、以下の問題が指摘されてきました。
(2)国際的な制度との違い
欧米諸国では、
離婚後も共同親権を維持する制度が一般的です。
例えば、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ(州による)などでは、共同親権が基本となっています。
日本の単独親権制度は国際的に見ても珍しく、国際結婚・国際離婚の場面でも議論になっていました。
(3)「子どもの利益」を重視する考え方
近年は、「離婚しても父母双方との関係を維持することが子どもの利益になる」という考え方が重視されるようになっています。
もちろん、すべてのケースで共同親権が望ましいわけではありません。
しかし、父母双方が適切に養育へ関与できる環境がある場合には、共同親権という選択肢が有効だと考えられるようになったのです。
3.共同親権になると何が変わる?
共同親権では、子どもに関する重要事項を父母が共同で決定します。
たとえば、進学先、手術など重大な医療行為、海外転居、銀行口座の作成等の財産管理です。
ここまで聞くと、習い事やワクチン接種、海外旅行、アルバイトの決定も同様に決定できるのだなと思うかもしれませんが、このようなことは親権者が単独で決められます。
すなわち、ごく普通の日常行為は単独で決められます。
あくまでも、共同で決定するのは上記にあげたような子が生活するにおいて「重要」とされる事項のみです。
他にも、緊急の事情がある場合は、単独で決められます。
例えば、病気やけがで緊急手術を受けなければならないとか入学手続きが間近に迫っているときなどです。
また、誤解を招きやすいものとして、共同で親権を行使できるのだから子供は父母の元を行ったり来たりして暮らせるのだと勘違いすることも多いかと思いますが、そういうわけではありません。
共同親権は、必ずしも父母が交替で子を監護することを認めるものではありません。
子が父母のどちらと暮らすかは別の問題となります。
4.共同親権のメリット
◆離婚の際の親権問題でもめない
筆者も数多くの離婚事件を手掛けてきましたが、離婚の際に一番揉めるのが親権です。
双方が親権を譲らないと主張するケースでは揉めに揉めます。
親権が定まらないと離婚自体できませんから、調停・裁判までもつれることも多々あります。
共同親権を考慮する余地があると、妥協案を模索することができ離婚協議の熾烈な紛争を回避できやすくなります。
◆親子関係を維持しやすい
離婚後も父母双方が子どもに関与しやすくなり、親子関係の断絶を防ぐ効果が期待されます。
◆養育への責任を共有できる
教育・生活・進路などについて双方が関わることで、養育責任を分担しやすくなります。
◆養育費の支払い促進も期待
親としての関与が継続することで、養育費の支払い意識向上につながる可能性も指摘されています。
一方で懸念される課題も共同親権には課題もあります。
◆DV・モラハラ事案への懸念
配偶者からのDVや精神的支配があるケースでは、離婚後も相手との関係が続くことで被害が継続するおそれがあります。
そのため改正法では、父母の一方が他の一方にDVをはたらいていたり、子を虐待するおそれがある場合には、家庭裁判所が単独親権を選択できる仕組みが設けられています(民法819条7項参照)。
5.まとめ
共同親権制度は、「離婚後も父母双方が子どもの成長に関わる」という新しい考え方を日本の法制度に取り入れるものです。
もっとも、すべての家庭に適しているわけではなく、DVや深刻な対立があるケースでは慎重な判断が必要です。
重要なのは、「親の権利」ではなく、あくまで「子どもの利益」を中心に考えることです。
制度の内容を正しく理解し、それぞれの家庭にとって最善の形を検討していくことが、今後ますます重要になるでしょう。
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