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公開日:2022.4.15
企業法務成人年齢引き下げと企業に求められる対応
弁護士法人PROの弁護士の伊藤崇です。
2022年4月1日、成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。
これまで単独で契約を締結できなかった18歳、19歳の方も、今後は親権者等の同意なく契約できるようになるため、企業活動にも影響が及びます。
今回は成人年齢引き下げの概要と企業に求められる対応をご説明しますので、是非参考にしてみてください。
1.成人年齢の引き下げ
2022年4月1日、改正民法が施行されて成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。
これに伴い、2002年4月2日から2004年4月1日の期間に生まれた方は、2022年4月1日に成年となり、誕生日が2004年4月2日以降の方は、18歳になった日に成年になります。
未成年者は単独で法律行為ができないため、契約締結の場面では親権者等の同意が必要です。
これまで18歳、19歳の方は単独で契約をすることができませんでしたが、改正民法施行後は18歳、19歳の方も自らの意思のみで契約ができるようになりました。
また遺言執行者など成人しかなれなかったものについても、18歳、19歳の方が就任できるようになりました。
一方、成人年齢が引き下げられても「20歳以上」の基準が維持される規定もあります。
飲酒や喫煙については、改正法施行後も18歳、19歳の方は禁止されたままです。
2.企業活動における留意点
成人年齢引き下げに伴い、企業活動にどういった影響が及ぶのか、留意点も踏まえてポイントをみてみましょう。
(1)アルバイト採用時の「親権者等の同意」
未成年者は単独で契約ができないため、未成年のアルバイトを雇い入れる際には、親権者等の同意が必要であり、同意書を求める企業が多数となっていました。
改正民法施行後は、18歳、19歳の方については雇入れ時の親権者等の同意が不要となるので、運用を変えても問題ありません。
ただし未成年者には資力がないのが一般的なので、身元保証人的な意味合いであえて親権者等の同意書を続ける運用もありえます。
(2)契約フローの見直し
これまで18歳、19歳の方が以下のような契約をするときには親権者等の同意が必要でした。
改正法施行後は18歳、19歳でも単独で契約ができるので、親権者等の同意を必要としない業務フローに変更が必要です。
(3)約款や規約の修正
従前の約款や利用規約において、未成年者を「20歳未満」と表記し、申込みや利用に親権者等の同意を要すると定めている企業も多いでしょう。
この場合、改正法施行後は条文の文言を「18歳未満」に書き換える必要があります。
「20歳未満」のままにしていると、18歳や19歳の方が単独でサービス利用を申し込んだ場合にまで、取消等を主張される可能性があるので注意しましょう。
(4)顧客情報の見直し
企業が管理する顧客情報も見直しが必要となるケースもあります。
たとえば未成年者について制限をもうけるため、成年と分けてデータベース化している企業では、情報内容の見直しと更新が必要です。
これまでは18歳、19歳は「未成年」のカテゴリに分類されていたはずですが、2022年4月1日からは「成年」カテゴリに分類し直さないと、適切な管理ができなくなってしまいます。
ユーザーに、生年月日が2002年4月2日から2004年4月1日までの方がいる場合には、2022年4月1日からカテゴリの分類の見直しが必要です。
成人年齢が引き下げられると、新規契約者や既存の顧客の取り扱い方法が変わってきます。
企業活動にも影響が及ぶ可能性があるので、迷ったときには弁護士へご相談ください。
以上
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