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公開日:2023.4.14
人事・労務【名古屋/外国人/ビザ】外国人を雇用した後の労務管理のポイント
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
人材不足の影響から日本における外国人労働者は増加傾向にあり、現に、人材不足に悩み外国人の雇用を開始する企業は多いです。
ビザの申請が許可され外国人を雇用できたとしても、油断してはなりません。
雇い入れた後も、適切な労務管理が求められます。これを怠ると資格外活動罪や不法就労助長罪が成立してしまいます。
今回は、外国人を雇い入れた後の労務管理のポイントをご紹介します。
(外国人材を採用する際の注意点・ポイントはこちらをご覧ください。)
外国人雇用を検討している場合、ぜひ弊所へお気軽にご相談ください。
弁護士へ依頼することで、雇用契約書の作成、労働環境の整備や在留資格申請が却下された場合の行政訴訟など、外国人雇用に関する問題をワンストップで解決できます。
1.在留資格該当性の維持
雇い入れ後の労務管理で最も重要なのは、在留資格該当性の維持です。
在留資格該当性は、在留資格ごとに様々な要件が法律で定められているため、入管法をはじめとする在留資格制度や法令の理解が不可欠です。
どの在留資格でも共通する在留資格該当性のポイントは、業務区分該当性です。
取得した在留資格で許されている業務以外の業務を行わせてしまうと、業務区分該当性が失われてしまいます。
業務区分該当性が失われる典型例
外国人は在留資格の範囲内での就労しか行えないため、外国人との雇用契約は必然的に「職種限定契約」となります。
仮に就業規則に配転命令や業務命令に関する規定があったとしても、労働契約第7条本文は適用されず、在留資格の範囲外の就労を行わせるような配転命令や業務命令よりも、職種限定契約が優先されます。
入管法は、在留資格該当性のない就労を資格外活動罪や不法就労助長罪として厳しく罰しています。
後述しますが、「特定技能」「技能実習」では、在留資格該当性をキープするために入管法だけでなく労働法の徹底遵守が求められます。
2.労働条件の不利益変更の際は外国人の日本語レベルに配慮
使用者が従業員との合意のもと労働条件を不利益に変更する場合、自由意思による合意と認められるだけの客観的事情が必要であり、そのためには労働者に対する具体的説明が手続的要件となります(最判H28.2.19山梨県民信用組合事件)。
労働者に対し労働条件の変更内容を説明しなければなりませんが、外国人の日本語レベルに配慮し、日本語が堪能でない場合は母国語の翻訳をつける等の対応が求められます。
特に「特定技能」や「技能実習」の外国人は、一般的に立場が弱いと考えられているため、形だけの合意があっても不利益変更は裁判で無効と判断されてしまうでしょう。
3.「技能実習」「特定技能」は労働法令を徹底遵守
「技能実習」の在留資格該当性は、認定を受けた技能実習計画に基づく活動か否かで判断されます。
企業(実習実施者)が労働法令に違反or違反したことがある場合、実習認定の欠格事由に該当し在留資格該当性が失われます(技能実習法第10条2号等)。
「特定技能」の在留資格該当性の要素の1つに受入機関適合性がありますが、こちらも、企業(受入機関)が労働法令を遵守していない場合は受入機関適合性が失われてしまいます(入管法第2条の5 第3項)。
そして、在留資格該当性が失われたまま雇用を継続した場合、外国人本人に不法就労罪、その外国人を雇用し続けた企業には不法就労助長罪が成立してしまいます。
なお、ここでいう労働法令とは、労働基準法、労働契約法、最低賃金法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法など全ての労働関係法令を含みます。
外国人を雇用する企業には高度のコンプライアンスが必要ですが、「技能実習」「特定技能」を受け入れる企業は、さらにシビアに法令遵守の徹底が求められます。
4.まとめ
今回は、外国人を雇用した後の労務管理について、在留資格該当性に焦点を当ててご説明しました。
在留資格該当性の維持は、外国人を雇用する企業が法令違反や不法就労助長罪等の罪を犯さないためにも必須です。
特に「技能実習」「特定技能」では、労働法令の違反がダイレクトに入管法違反に影響してしまいますから、徹底したコンプライアンスが求められます。
弊所では、入管法、技能実習法及び労働関係法令等に精通した専門の弁護士が、外国人を雇用する企業を継続的にサポートします。
外国人雇用を検討している方は、お気軽に弊所へご相談ください。
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