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公開日:2023.8.10
人事・労務【名古屋/外国人/ビザ】就労ビザ申請時の雇用理由説明書の書き方・記載例(ひな形)
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
人材不足の影響から日本における外国人労働者は増加傾向にあり、働き方改革により副業が解禁されたため外国人材も副業を行うケースが増えてきました。
外国人を雇用した後は、日本人の労働者と同様に労働関係法令を遵守することに加え、様々な手続きを行わなければなりません。
今回は、就労ビザ申請の際に必要になる書類の中でも重要な「雇用理由説明書」の書き方や記載例をご紹介します。
外国人雇用を検討している場合、ぜひ弊所へお気軽にご相談ください。
弁護士へ依頼することで、雇用契約書の作成、労働環境の整備や在留資格申請が却下された場合の行政訴訟など、外国人雇用に関する問題をワンストップで解決できます。
1.雇用理由説明書とは
雇用理由説明書は、企業が作成する書類です。
会社の概要、なぜこの外国人を採用する必要があるのか、採用した後はどこに配属するのか等を記載します。
雇用理由説明書は、提出が法令上義務付けられているわけではありませんが、迅速に審査を進めるためには必須です。
雇用理由説明書を用意せずにビザの申請を行うことも可能ですが、高い確率で入管から追加の説明・資料提出を求められます。
2.雇用理由説明書に書くべき内容
雇用理由説明書の記載内容は任意です。
ここでは、一つの例をご紹介します。
これを参考に理由書を作成すれば、自然と就労ビザの申請にマストな“ジョブ型雇用”の思考ができます。
(1)会社の概要・事業内容
まずは会社の自己紹介を行います。
創業してから現在に至るまでの経緯、企業理念、事業内容、将来のビジョン等を記載します。
会社登記簿や決算書は別で提出することになるため、あまり詳細な記載は必要ありません。
(2)事業の安定性・継続性があること
就労ビザ申請が不許可になった場合は入管から不許可の理由が記載された通知がきます。
不許可の理由は「事業の安定性及び継続性が認められない」の一言で片づけられてしまうケースが多いのですが、入管がこの点を重点的に審理しているともいえます。
事業の安定性・継続性があることはしっかりアピールしましょう。
(3)会社の人材ニーズ
ここからは、入管法に定められているビザの要件を満たすよう意識する必要があります。
人材ニーズが就労ビザの活動内容に合致しているのか確認しながら記載します。
基本的に、どの就労ビザであっても単純作業・現場労働は許可されません。
これらのニーズのためには就労ビザのうち「特定技能」「技能実習」を活用することになります。
(4)その外国人が会社の人材ニーズに合致すること
会社のニーズにその外国人がマッチしていることを記載します。
外国人の学歴・職歴に照らして、保有しているスキルを自社で活かせることを具体的に説明します。
3.雇用理由説明書の記載例(ひな形)
留学生を採用する場合の雇用理由説明書の記載例です。
下記申請者を当社にて採用する予定です。本書に、当社の概要や申請者を採用するに至った理由を記載いたします。申請者に対し在留資格「技術・人文知識・国際業務」をご許可くださいますようお願い申し上げます。
申請者氏名 :●●●●
国籍(地名):●●●
生年月日 :●●●●年●月●日
第1 会社概要・事業内容
当社は、●●年●月に設立した株式会社です。当社は、設立当初から●●のサービス(商品)を提供しており、クライアントから長らくご愛顧を頂いております。
数年前から、新たに●●事業も立ち上げ、社会に対してさらに大きな価値を提供できるよう努めております。
第2 事業の安定性・継続性
当社は、今年で●期を迎え、長期にわたり営業してまいりました。
新型コロナウイルスの影響により収支が悪化した時期もありましたが、新規事業の立ち上げやコスト削減に取り組み、コロナ禍を乗り切りました。現在は売上が右肩上がりに回復し、コスト削減の取り組みも継続しておりますので、経営基盤には何ら問題はありません。
第3 人材ニーズ(雇用の必要性)
当社が立ち上げた上記の新規事業は、諸外国からも注目を集めており、当社事業はグローバル化が進んでおります。中でも米国企業との取引が増加傾向にあり、日本語・英語に堪能が人材の獲得が急務となっております。
第4 申請人の学歴及び当社での職務内容
申請人は、本年3月に●●大学(専攻:●●)を卒業する予定です。在学中は●●を専攻し知見を深めてきました。
当社では、下記業務を担当してもらう予定です。
①クライアントのターゲティングやニーズの調査等のバックオフィス
②米国企業との商談、契約交渉
申請人は、当社で活躍できるだけの高いスキル・専門知識を保有しているため、当社に大きく貢献してくれる人材であることは間違いありません。
早急の在留資格変更許可申請をご許可くださいますようお願い申し上げます。
4.まとめ
今回は、就労ビザの申請で必要になる雇用理由説明書について解説しました。
雇用理由説明書は、決算書、登記簿、雇用契約書といった資料のみでは読み取れない、会社の概要や採用に至る経緯を説明するものです。
就労ビザを許可するための要件を満たしていることをアピールできれば、許可の可能性が高くなります。
とはいえ、雇用理由説明書は理路整然とした文章であることが求められますし、作成するには時間と手間も要します。
就労ビザの申請方法にお悩みの方は、お気軽に弊所へご相談ください。
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