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【はじめてのМ&A】クロージング後の手続(PMI)
弁護士法人PROの柏木太郎です。
М&Aは、企業を成長させるための有効な手段であるのみならず、ここ最近では後継者確保の目的で行われることも多いです。
しかし、M&Aの最終契約の締結・決済(クロージング)はスタートラインに過ぎず、その後にスムーズに事業を運営するための取組み(PMI=POST MERGER INTEGRRATION)こそが重要です。
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aのクロージング後の手続であるPMIについて解説します。
М&Aでお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.PMIとは
PMIとは、M&A成立後(クロージング後)に行う、統合に向けた手続き・取組みです。
M&Aの目的がシナジーであれ後継者確保であれ、それを達成するためにはM&A成立後に円滑に事業を行う必要があります。
円滑に事業を進めるために必須となるのがPMIです。
大企業などM&Aのノウハウの蓄積がある企業では、M&Aのクロージングまでの過程よりもPMIが重要と認識されていることもあります。
2.PMIの進め方
まず、M&Aで達成すべき目標を定めます。
その目的の実現のためにどのようなPMIが求められるのか洗い出し、M&A成立後にPMIへ移行します。
PMIの具体例は、M&A成立後の経営の方向性の確立・言語化、従業員・役員・既存取引先との信頼関係の構築、業務の引継ぎ等です。
特に信頼関係の構築は重要です。
信頼関係の構築を怠ると
といった深刻な不利益が生じるおそれがあります。
特に譲受側は、自分たちの方が立場が上と思いこみ信頼関係の構築が疎かにならないよう、コミュニケーションの取り方や場所の選定にも気を配る必要があります。
また、従業員に対してM&Aによるメリットを早期に実感してもらいモチベーション向上や離職防止のため 賃金引上げや備品の交換といった措置(“ クイック・ヒット”と呼ばれます)を講じることも有効です。
加えて、COC(チェンジ・オブ・コントロール)条項のケアや株式譲渡を行うための株主総会決議といった法的な手続きも行う必要があります。
3.PMIはいつからスタート?
PMIそれ自体は、
M&A成立後に開始し、数カ月~数年をかけて完了します。
しかし、円滑にPMIを進めるためには、M&A成立後に検討していては遅いです。
M&Aのプロセスと並行して、PMIの準備をしておかなければなりません。
この準備はプレPMIと呼ばれます。
基本契約締結時、遅くともデューデリジェンス(DD)を開始する時期には、PMIの準備(プレPMI)をスタートさせましょう。
プレPMIの具体例は、下記になります。
4.シナジーを目的とした成長型M&AにおけるPMI
これまで解説してきたことは、後継者確保を目的とした持続型M&Aとシナジーを目的とした成長型M&Aの両者に当てはまるものです。
成長型M&Aは、単に経営者が交代するだけでなくシナジーを発生させることが目的ですから、 PMIも持続型M&Aに比べボリュームが大きくなります。
特に、中~大企業が関与するM&Aは成長型M&Aであることが多く、大量の人・金・モノに影響を及ぼすため、計画的にPMIを進める必要があります。
大きく分けると、売上を作るための事業機能と人事労務や法務等の管理機能の2つの側面でのPMIが必要になります。
事業機能においては、経営資源の相互活用・組合せによる売上シナジー、事業活動の見直しによるコストシナジー等を実現するため
①現状把握
↓
②方針策定
↓
③実行計画策定
↓
④その実行
といった流れで進めるのが一般的です。
管理機能においては、適材適所な人材配置、適正な会計管理、ビジネスや人事労務の法令遵守等を実現するために
①現状(問題点や法令違反の有無)の把握
↓
②改善のための方法検討
↓
③改善実行
の流れで進めるのが一般的です。
事業の種類によっては関係省庁との連携が必要になることもあります。
5.まとめ
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aを行ううえでの注意点をご紹介しました。
買い手側も売り手側も、М&Aを成功させるためには入念な準備が必要です。
М&Aに不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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