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弁護士コラム
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公開日:2024.11.8
企業法務秘密保持契約書のチェックポイント⑵
弁護士法人PROの花井宏和です。
前回に引き続き、秘密保持契約書のチェックポイントについてお伝えします。
1.目的外使用の禁止
秘密保持契約の中核的な条項です。
秘密情報の非開示義務を課すのみでなく、秘密情報の目的外使用を禁止する条項も置く必要があります。
かかる条項を置かなければ、
情報の受領側が第三者に秘密情報を開示または提供することなく使用することは妨げられないことになり、例えば、情報の受領側が、情報の開示側と競合する事業を行うために利用することも可能となってしまうためです。
2.有効期間
受領者に開示された情報は、有形無形を問わず、契約終了後も情報の受領側に残存する可能性があります。
そのため、情報の開示者としては、契約終了後も秘密保持義務(第三者への開示・提供の禁止、目的外使用の禁止等)を存続させる必要があります。
有効期間については、情報が陳腐化するまでの期間とすると、受領者側にとっても受け入れやすい条項となるでしょう。
情報の受領者としては、半永久的な有効期間の定めがされると、開示された情報が陳腐化したとしても目的外使用することができず、 新たなビジネスへの参画に遅れる可能性があります。
そのため、情報の受領側としては、半永久的な有効期間は受入不可とし、情報が陳腐化するまでの有効期間とする必要があります。
厳格な秘密保持義務を負う代わりに、有効期間を絞るといった形で条項案を作成するとよいでしょう。
3.損害賠償
情報の開示側が、情報の受領側に対して、秘密保持義務違反に基づいて損害賠償請求を行う場合、開示者が損害と因果関係を立証する必要があります。
もっとも、具体的な損害額の算定は困難であり、立証は容易ではありません。また、
ケースによっては金銭で回復不可能になることもあります。
そこで、損害賠償額の予定又は違約金を定めることが考えられます。
かかる定めをおくことにより、損害と因果関係を立証することなく損害賠償請求が可能となります。
もっとも、秘密保持契約は、共同関係を模索している当事者間で、ビジネスの入り口段階で締結されることが多く、かかる段階では
契約違反を想定した交渉は回避される傾向にあります。
4.秘密情報の破棄・返還
情報の漏洩を防ぐため、秘密情報の破棄又は返還についての定めを置くべきです。
情報の開示側としては、
請求があれば返還を求めることが可能な規定を置き、契約終了前であっても情報の返還・破棄を求められるようにするべきです。
また、情報の破棄・返還に向けた確実な対応を求める場合には、情報受領者に対し、秘密情報を破棄または返還することを証明する文書を求める規定を置くことも考えられます。
情報の受領者側としては、意図しないタイミングで破棄・返還を求められないように、「
契約が終了したとき、あるいは、契約目的が達成され、または不達成が明らかになったとき」という形で限定しておくことが考えられます。
5.複製の禁止
複製の禁止に関する規定を置かなければ、秘密保持契約に定められたほかの義務に違反しない限り、情報の受領側が秘密情報を複製することは禁じられません。
そのため、複製を禁じる場合には、その旨の規定を置く必要があります。
仮に複製を禁止しない場合であっても、不必要な複製を禁じるために、複製の範囲を合理的な範囲に限定することが考えられます。
この場合、複製した情報も秘密情報に含まれる旨の規定を置きます。
今回は前回に引き続き、秘密保持契約書のチェックポイントについてご説明しました。
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