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公開日:2024.11.15
企業法務【はじめてのМ&A】仲介会社(FA)の選び方
弁護士法人PRO 弁護士の柏木太郎です。
М&Aは、企業を成長させるための有効な手段であるのみならず、ここ最近では中小企業や個人事業主の間で行われることも多いです。
昨今、M&Aにおいて仲介会社が間に入るケースが多いです。
しかし、中には契約体系が分かりにくい、仕事の質が低いといった問題のある仲介会社もあります。
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、仲介会社の選び方のポイントをご紹介します。
М&Aでお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.仲介(FA)とは
M&Aにおいて、買手と売手の双方にアドバイスや支援を行い、その対価として買手・売手双方から報酬を得る会社のことです。
仲介とは区別されるものとしてFA(フィナンシャル・アドバイザー)もありますが、実務では仲介が圧倒的多数を占めます。
名目が「アドバイザリー契約」等となっていても、実態は双方に関与し双方から報酬を得る“仲介”であるケースが多いです。
※仲介とFAの違いについて、詳細はこちら
銀行等の金融機関もM&Aの仲介に参入しており、昨今は仲介会社や仲介業務を行う企業が多数存在しています。
2.仲介の問題点
(1)利益相反
高く売りたい売手と安く買いたい買手の利益は相反しています。
この様な利益相反関係にある当事者の双方に支援をするのですから、仲介は根本的には利益相反にあります。
現に、政府策定の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024年改訂版」の中でも、仲介の「利益相反構造を軽減する報酬体系の検討」を要する旨の言及があります。
仲介が入る場合は、自社だけでなく相手方にもサポートしていることを念頭に置く必要があります。
(2)高額な報酬(手数料)
仲介は、買手と売手の双方から高額な報酬(手数料)を受け取るケースが多いです。
譲渡代金や移動資産等をベースとしたレーマン方式(ex譲渡代金の5%)が採用されているので、必然的に報酬額も高額になります。
前述の実行計画の中でも、高額な手数料が問題視されています。
2024年6月頃に仲介大手の株価が急落する事態が発生しましたが、原因は実行計画の中で仲介の利益相反構造や高額な手数料が問題視されたことにあると推測されています。
(3)仕事の質
仲介といっても、その規模は様々ですし、担当者の質にもバラつきがあります。
中小M&Aガイドラインでも、質の高い仲介者が選ばれる環境の促進が図られています。
3.仲介の選び方
(1)M&A支援機関登録制度に登録されているか
M&A支援機関登録制度に登録されていれば、一定の信頼性は担保できるでしょう。
しかし、これに登録しているからといって特別な許認可や資格が与えられているわけではありませんから、安心はできません。
むしろ、これに登録されていることは最低限の条件といってよいでしょう。
(2)重要事項をきちんと説明しているか
M&Aのスキーム、仲介への報酬体系等の重要事項をきちんと説明する仲介へ依頼すべきです。
ガイドラインに各種契約書や重要事項説明書のサンプルが公開されていますので、これを用いて説明する仲介は一定の信頼が置けると評価し易くなります。
(3)充分な検討時間を与えているか
M&Aは会社にとって重大な案件です。
重大な案件を進めるためには相応の検討を要するのが自然です。
ここで、契約締結を過度に促す仲介は、自身の報酬欲しさに強引に契約締結を迫っているおそれがあります。
充分な検討時間を与え無理なスケジュールを押し付けない仲介を選ぶとよいでしょう。
(4)過剰な交渉制限をかけていないか
仲介の契約において、契約終了後もM&Aの候補先となった相手方との交渉制限が設けられることがあります(テール条項)。
これ自体は不自然ではないですが、制限の期間があまりに長すぎる場合、その仲介は信用に値しないおそれが高まります。
一般的に、交渉制限の期間は長くても2年程度が妥当と思われます。
(5)自社でしっかり検討する
最終的に判断し責任を負うのは自社ですから、仲介の言うことやセールストークを鵜呑みにせず、自社でもしっかり検討しなければなりません。
検討の際は、本記事で紹介したポイントを参考にするとよいでしょう。
不安であれば、弁護士等の専門家にサポートやセカンドオピニオンを求めることを推奨します。
4.まとめ
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aにおける仲介会社の選び方のポイントをご紹介しました。
M&Aは企業にとって大きな決断であり重大案件ですから、それに関与する仲介も質の高い者を選ばなければなりません。
М&Aに不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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