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公開日:2025.1.10
企業法務株主総会とは?招集手続と議事運営についてのチェックポイント
弁護士法人PROの花井宏和です。
株式会社にとって、株主総会は重要な役割と権限を有する機関ですが、中小企業においては必ずしもその重要性に応じた支援がなされていないケースもあります。
招集手続や運営方法等に関して適正な手続を経ていなかったり、実際には株主総会を開催しないままに、決算に合わせて議事録のみ作成してしまっていると、決議の取消や無効を主張され、訴訟提起される可能性もあります。
このコラムでは、株主総会についての一般的な説明をし、併せて招集手続と議事運営についてのチェックポイントについて解説します。
1.株主総会とは
株主総会とは、 議決権を有する全ての株主によって構成される株式会社の意思決定機関です。
株主総会は、株式会社の最高意思決定機関といえます。
会社は、その機関として、 取締役と株主総会を必ず設置する必要があります(会社326条1項)。
株主総会を実施するに際しては、株主総会決議の手続や内容が定款に違反しないように、会社法が定める手続に従って適法に実施する必要があります。
2.株主総会の種類
株主総会には、定時株主総会と臨時株主総会があります
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に開催される株主総会です(296条1項)。
定時株主総会では、 年度決算に関する決議の他、役員の選任等、その他の事項についても決議することができます。
定時株主総会をいつ開催するかについて、特に規制はありません。
もっとも、実務上、事業年度末日(決算期)の3ヶ月近く後に開催している場合が多いです。
株主総会は、必要がある場合は、いつでも招集をすることができます(296条2項)。
この必要に応じ随時招集される株主総会を臨時株主総会といいます。
株主総会において決議事項が生じ、 次の定時株主総会を待たずに当該事項を決議する必要がある場合に、臨時株主総会が開催されます。
臨時株主総会は、株主総会の決議事項であれば、決議することができます。
3.株主総会の権限
(1)非取締役会設置会社の場合
非取締役会設置会社では、
会社法に規定する事項のみでなく、会社に関する一切の事項について決議することができます(295条1項)。
株主が直接経営上の決定に深く関与することが予定されているためです。
(2)取締役会設置会社の場合
取締役会設置会社の株主総会は、
会社法又は定款が定めた事項についてのみ決議することができます(295条2項)。
会社の運営・管理は基本的に取締役会の責任で行うことが予定されているためです。
もっとも、会社法に規定していない事項であっても、定款に規定すれば決議可能です。
4.株主総会の招集について
株主総会の招集については、下記をもれなくチェックする必要があります。
定款変更等の特別多数決を要する事項については、事前に委任状を取り付けておくと良いでしょう。
また、取締役会設置会社では、取締役全員の書面又は電磁的記録による同意を取得することにより、定款の定めに基づいて株主総会招集事項を決定する取締役会を省略することが可能です(370条)。
さらに、株主総会の決議事項や報告事項について、株主全員が書面または電磁的記録により同意した場合には、 株主総会自体の省略も可能です(319条1項、320条)。
議事録のみ作成して、株主総会が開催されていない場合には、株主総会決議不存在確認の訴えの対象となり得る(830条1項)ため、株主全員の同意を得た上で決議を省略することも検討に値すべきでしょう。
5.議事運営について
株主総会の運営は、
事前に詳細なシナリオを作成し、それに従って行うのが実務上は一般的です。
シナリオ案については、法令や定款に違反していないかについてチェックし、必要に応じてリハーサルをする必要があります。
当日の混乱を避けるために、
株主総会当日は、弁護士が議長の補助者として同席をすることも可能です。
株主は、下記の動議について提出が可能です。
❶の動議が提出された場合、まずはその動議が定款に違反していないか等の適法な修正動議であるかを確認します。
その上で、原案を修正案よりも先に採決します。
原案が可決された場合は、修正案は否決されたものとして取り扱うことが可能であるためです。
❷の手続的な動議の場合には、当該動議をどのように取り扱うかは、議事整理権(315条)を有する議長の裁量に委ねられています。
❸の動議については、
必ず議場に確認する必要がありますので注意が必要です。
今回は、株主総会についての一般的なご説明及びその招集手続と議事運営についてのチェックポイントについてご説明しました。
株主総会の運営等についてお困りの場合には弊所にお気軽にご相談ください。
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