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弁護士コラム
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公開日:2025.1.24
企業法務【はじめてのМ&A】М&Aにおけるデューデリジェンス(DD)の流れ
弁護士法人PRO 弁護士の柏木太郎です。
М&Aは、企業を成長させるための有効な手段であるのみならず、ここ最近では後継者確保の目的で行われることも多いです。
中小企業でも盛んにМ&Aが行われており、より身近な存在になったといえます。
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aを行うに当たって必須ともいえるデューデリジェンス(DD)について解説します。
М&Aでお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.デューデリジェンスとは
М&Aの買手側としては、買収しようとする事業者(売手)がどの様な事業者なのか、問題やトラブルを抱えていないか、М&Aの目的を達成できるのかが気になるでしょう。
一見して優良企業に見える売手であっても、簿外債務、法令違反や訴訟等のトラブルを抱えているおそれがあります。
そこで、М&Aを行うにあたっては、
買収対象企業(売手)の調査が必須です。
この調査が、デューデリジェンス(DD)と呼ばれるものです。
DDには、事業の内容・規模を調査するビジネスDD、収益性や税務リスクを調査する財務DD、法令違反や紛争等を調査する法務DDといった区分けがあります(昨今ではITDDや環境DDといった観点も生まれています。)が、今回は主に弁護士が担当する法務DDについて焦点を当て解説していきます。
2.DDの目的
DDの目的は、 主に下記4つの観点の情報を収集することです。
法務DDの意義は、主に③④の達成にあります。
3.法務DDの流れ
法務DDでは、売手側の組織と事業を対象に行います。
会社組織や株主構成はМ&Aのスキーム選択に影響を与えますし、スキーム次第では売手が抱えている人事労務の問題や訴訟等のトラブルは買手が引き継ぐことになりますから、法務DDで予め課題やリスクを洗い出さなければなりません。
そのためには専門知識が不可欠ですから、法務DDは買手が依頼した弁護士等の専門家が主導して行うケースが多いです。
法務DDの流れは、一般的には、買手側がDDの範囲と深度(スコープ)を設定します。
買手側から売手に対して、設定されたスコープに適したDDのために必要となる資料リストを送付し、これに基づき売手から資料の提供を受けます。
買手は、提供された資料を確認するとともに、必要に応じて現地調査(オンサイト)や役員やキーパーソンへの聴き取り(マネージャーインタビュー)を実施します。
これら調査により発見された課題やリスクを取りまとめ、その課題の解決策を考案するまでが法務DDの一連の流れです。
最も重要なのは、解決策の考案です。
買手も売手も、М&Aの実現を望んでいるでしょうから、課題やリスクが発見されたとしても、単にそれを報告するだけではビジネスの邪魔をしただけで終わってしまいます。
どうすれば課題を解決できるのか、どうすればリスクを低減できるのか、効果的かつ実現性のある解決策を考案することこそが法務DDの大きな意義です。
他方で、発見された課題やリスクが重大な場合は、М&Aを中止させるよう提案することも法務DDの大切や役割です。
4.DDの注意点
法務DDに限らず、DDは時間や手間をかけようと思えばいくらでも費やせます。
コストをかけた方が丁寧なDDができますが、М&Aにスピード感を持たせるためには、DDにそれほどコストはかけていられません。
そこで、限られた時間と予算の中で、計画的かつ効果的なDDを行う必要があります。
何を重視するのか、どの資料のどの点を重点的に確認するのかを検討した上でDDを実行しなければなりません。
小規模事業者のМ&Aの場合には、スピード感とコストカットを実現するためにポイントを絞って簡易的なDDのみで完了させることも考えられます。
他方で、想定されるリスク全般について調査するケースもあります。
当事者の規模や事業内容、実現したいシナジーの内容などの個別事情から、そのМ&AにベストなDDのスコープを設定することが求められます。
法務DDで重視すべきポイントは別記事で改めてご紹介します。
5.まとめ
今回は、はじめてМ&Aを行う企業向けに、М&Aを行ううえでのデューデリジェンスの概要や大まかな流れと注意点をご紹介しました。
特に買手側にとっては、М&Aを成功させるためには限られた時間と予算の中で適切にDDを行う必要があります。
М&Aに精通した弁護士へ法務DDを依頼すれば、М&Aを成功に導くための効果的なサポートを受けられます。
М&Aに不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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