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弁護士コラム
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公開日:2021.8.27
企業法務商標の概要について
弁護士法人PROの弁護士の松永圭太です。
今回は「商標の概要」について取り上げます。
1.商標とは?
最近、東京オリンピックで活躍した選手の氏名が中国で無断で商標登録されたというニュースを目にしました。このニュースは中国での商標登録の話ですが、日本にも商標制度はありますので、日本における商標の概要について取り上げたいと思います。
商標とは、事業者が、自分の取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用する文字や図形等のマーク(識別標識)のことをいいます。
そして、商標は特許庁で登録されて初めて商標権という権利が与えられます。
例えば、コカ・コーラ社が製造する「アクエリアス」という清涼飲料水がありますが、消費者はペットボトルに貼られたラベルにあるマーク(※1)を見て、他の製品ではなく、コカ・コーラ社が製造する「アクエリアス」を選ぶことができます。
このように、消費者は、意識的又は無意識的に、商標を通じて自分の購入したい商品やサービスを判断しています。
そのため、商品・サービスの普通名称、商品・サービスについて慣用されている商標、商品の産地、販売地、品質、特徴等を表示するにすぎない商標等は、他人の商品・サービスと区別することができませんので、商標登録をすることができないことになっています。
なお、商標には、文字だけでなく、図形(※2)、立体的形状(※3)、音(※4)、色彩のみ(※5)、ホログラム(※6)等、様々な種類があります。
(※1)
登録番号第5998982号
権利者:ザ コカ・コーラ カンパニー
(※2)
登録番号第4733751号
権利者:東京地下鉄株式会社
(※3)
登録番号第4157614号
権利者:株式会社不二家
(※4)
登録番号第5804299号
権利者:久光製薬株式会社
(※5)
登録番号第5930334号
権利者:株式会社トンボ鉛筆
(※6)
登録番号第5948330号
権利者:東レ株式会社
2.商標の機能
商標には、以下の3つの機能があると言われています。
(1) 出所表示機能
出所表示機能とは、商標が付された商品・サービスが同じ事業者の責任で提供されていることを機能です。
先ほどの「アクエリアス」の例で言いますと、消費者は「アクエリアス」の商標(※1)を見て、コカ・コーラ社が製造している商品であることを把握することができます。
(2) 品質保証機能
品質保証機能とは、商標が付された商品・サービスが同じ品質のものであることを保証する機能です。
先ほどの「アクエリアス」の例で言いますと、事業者が品質を厳しく管理・維持することによって、消費者は「アクエリアス」の商標(※1)が付されている商品は、どれも同じ品質であるものが提供されていると認識し、安心して購入することができます。
(3) 宣伝広告機能
宣伝広告機能とは、商標が付された商品・サービスの宣伝広告の効果を高める機能です。
先ほどの「アクエリアス」の例で言いますと、「アクエリアス」の商標(※1)をシンボルとして、テレビCMなどの広告を効果的に行うことができます。
3.商標登録のメリット
(1) 自分の商標と紛らわしい商標が使用されるのを防ぐことができる
特許庁に商標が登録されると、その商標と共に、指定商品・指定役務が登録されます。
商標権の効力が及ぶのは、登録された商標と同一又は類似のもので、かつ、登録された指定商品・指定役務と同一又は類似のものです(以下の表の◎は商標を独占的に使用でき、〇は他人の使用を禁止できます)。
登録された商標の有効期間は、特許庁で登録を受けた日から10年間ですが、何度でも更新が可能です。
(2) 商標登録していない場合のリスク
リスク1
例えば、せっかく考えた商品・サービスのネーミングについて、仮に自社が先に使用を始めていたとしても、他社が先に特許庁に出願してしまうと、自社が商標登録することができなくなってしまいます。
リスク2
例えば、大ヒットした商品・サービスについて、他社の粗悪品が出始めると、自社の商品・サービスの評判に悪影響が出てしまいますが、商標を登録しておかないと迅速に対応ができません。
リスク3
例えば、商標登録をしていないことによって、取引先から十分な信用が得られず、取引を断られてしまうこともあります。
(3) ライセンス収入
自社の登録商標を使用したい事業者がいた場合、ライセンス契約を結ぶことでライセンス収入を得ることもできます。また、他社とのコラボレーションによって、自社の商品・サービスのブランド価値をさらに向上させることにもつながります。
上記の3つのリスクを避けるためにも、商標登録が必要になってきますし、商標の3つの機能をうまく活用することによって、自社の商品・サービスのブランド価値を向上していくことができます。
この機会に、自社の商品・サービスについて商標登録を考えてみてはいかがでしょうか。
以上
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