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弁護士コラム
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公開日:2025.7.11
企業法務【起業家必見】スタートアップに求められる法務対応
弁護士法人PROの弁護士柏木太郎です。
スタートアップは、革新的なビジネスモデルや技術を武器に成長を目指す企業であり、その立上げや成長の過程で多種多様な法的課題に直面します。
法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、事業の成長や競争力強化の基盤となる重要な経営機能です。
本記事では、スタートアップに求められる法務対応はどのようなものなのか、総論的に解説します。
1.なぜスタートアップに法務対応が必要なのか
会社設立、社員採用、資金調達、製品販売など、企業活動のあらゆる場面で法律問題が発生します。
また、法務・コンプライアンスの内容や水準は、事業立ち上げ、スケール化、IPOといった各フェーズで異なる課題が生じます。
新規ビジネスの設計段階から、どのような法的課題(リーガルリスク)が生じうるかを予見し、具体的な解決策を検討することが求められます。
2.予防法務・戦略法務・経営法務の三本柱
(1)予防法務
契約書や社内規則の整備、規制当局との関係を踏まえた文書管理など、紛争やトラブルの未然防止を重視します。
特にスタートアップはリソースに乏しく、一度問題が発生してしまうと適切な対応ができず廃業に追い込まれたり、問題への対応にリソースを割かれてしまい本業が疎かになったりしてしまいます。
予防法務はスタートアップの法務対応の要です。
(2)戦略法務
新規事業や重要な取引において、多角的な視点から最適な取引形態を提案し、企業価値の最大化を図ります。
予防法務が守りの法務だとすると、戦略法務は攻めの法務です。
(3)経営法務
会社組織や経営管理に関する重要課題に対し、法的観点から意思決定をサポートします。
ガバナンスやIPOといった経営上重大な判断を下す場面で求められる法務です。
3.スタートアップ特有の法務課題と対応
(1)不利な契約条件を提示されやすい
スタートアップは、資金調達や案件受注の場面で大企業や投資家と契約を結ぶ機会が多く、実績のないスタートアップは不利な契約条件を受け入れざるを得ない場面が多いです。
しかし、NDA、共同研究契約、出資契約などでの不公平な取決めや知財の独占リスクは大きな問題であり、不利な状況の中でもできる限りの契約条件向上が求められます。
そして、契約条件を向上させるためには、法律知識に基づくリスクの指摘や根拠を添えた修正案の提案が求められます。
単に「この条件を変えてくれ」といっても、大企業や投資家は応じてくれません。
(2)テクノロジー・AI・先端分野の法務対応
スタートアップは、AIや先端技術を活用するビジネスモデルをとることが多いです。
新技術の不確実性やリスクを踏まえ、smallstart(スモールスタート)による段階的なリリースとリスク管理が推奨されます。
リリース範囲の決定やリリース後のモニタリングを通じて、リーガルリスクを適切に管理し、中長期的に事業に反映することが求められます。
特に社会的影響が大きい領域では、役員を交えた議論や外部専門家の意見を取り入れる体制も求められます。
4.コンプライアンス・ガバナンス
スタートアップは、ガバナンス体制やコンプライアンス体制の整備が遅れがちですが、適切な経営管理やリスク評価が不可欠です。
特に、資金調達、M&Aなどの場面では、法令遵守やリスク管理体制の構築、説明責任が厳しく求められます。
また、昨今、世間から厳しく指摘・追及される企業の社会的責任(CSR)は、スタートアップも例外ではありません。
情報管理や技術流出対策、マネロン対策など、業種特有のリスクにも対応する必要があります。
自社の成長に伴い、法務部門の設置や社内規程の整備、従業員への法務教育・研修が重要となります。
このような地道な取組みが将来のリスク低減、競争力強化や人材定着につながるでしょう。
5.まとめ
スタートアップにおける法務対応は、単なるリスク回避にとどまらず、事業の成長・競争力強化・イノベーション推進の基盤となる経営機能です。
予防法務・戦略法務・経営法務の三本柱を意識し、ガバナンス・コンプライアンス体制の整備を進めることが、持続的な成長と企業価値向上の鍵となります。
しかし、リソースに乏しいスタートアップでは、自社だけで法務課題を解決することは困難です。
複雑な法的課題や専門性の高い分野では、外部の弁護士の知見を積極的に活用することが重要です。
当事務所はスタートアップの支援に積極的に取り組んでいます。
弁護士の活用を検討しているスタートアップの皆様は、ぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。
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