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公開日:2025.9.25
企業法務プロ野球選手が結ぶ代理人契約書――確認すべき7つのチェックポイント
弁護士法人PROの弁護士 沢津橋信二です。
プロ野球選手が、弁護士やエージェントを「代理人」として契約交渉やキャリア支援に関与させる場合、最初に締結すべきなのが代理人契約書です。
この契約書は、選手と代理人との信頼関係を「文書」によって担保するものであり、内容をきちんと理解しないまま署名すると、将来的なトラブルや損失を招きかねません。
今回は、代理人契約書を締結する際に必ず確認しておくべき主なチェックポイントを7つに整理してご紹介します。
1.【契約期間】は合理的か?
プロ野球選手の場合、球団と1年契約ということも少なくなく、それと連動して代理人契約も、1年契約の自動更新とされるのが一般的です。
しかし中には2〜3年といった長期間の固定契約や、選手側からの中途解約が極めて困難な条項が含まれることもあります。
また、プロ野球の世界は厳しい世界なので、シーズン途中で球団から契約を切られることもあります。
そのため、下記の点に注意しましょう。
また、これらの点は、将来代理人を変更したくなった場合にも注意する点なので、将来の不足な事態にも対応できるよう必ず確認しておきましょう。
2.【報酬の内容と計算方法】は明確か?
プロ野球選手との代理人契約には報酬の定め方には複数のパターンがあります。
例:年俸や契約金の○%
固定報酬+成果報酬
不明確なまま契約すると、「思っていたより高額な手数料を請求された」といったトラブルになりがちです。
特に注意すべきポイントは以下のとおりです。
3.【業務内容・代理権限】の範囲は適切か?
「代理人」とはいっても、すべてを任せてしまってよいわけではありません。
代理権限が過剰に設定されていないか、チェックが必要です。
4.【守秘義務・情報管理】の定めは十分か?
選手の年俸や契約内容、怪我や私生活に関する情報は、極めてセンシティブです。
情報が流出すれば、即社会をにぎわせてしまうのがプロ野球選手です。
このようなことがあれば、私生活にも影響が出て野球の成績も下がってしまいます。
代理人が第三者に情報を漏らすことのないよう、守秘義務条項が適切に定められているか確認しましょう。
また、契約終了後にも守秘義務が残る「存続条項」があるかどうかも重要です。
5.【利益相反防止】の対応は取られているか?
同じ代理人が複数の選手を担当している場合、
利害関係がぶつかる可能性もあります(例:同ポジションのライバル選手との交渉を同時に扱う場合など)。
その場合に備え、以下のような条項が契約にあるか確認しましょう。
代理人に満足できなくなったとき、契約を終了させる方法が明記されているかを必ず確認しましょう。
特に、選手の側にだけ厳しい解除条件が課されていないか注意が必要です。
万一、代理人との間で紛争になった場合に備えて、どこの国の法律に基づくか(準拠法)、どこで争うか(管轄裁判所や仲裁機関)が書かれているかも重要です。
国内選手であれば「日本法」かつ「東京地方裁判所」などとされているのが一般的です。
プロ野球選手にとって、代理人との契約は競技人生に直接影響する重要な判断です。
契約書に署名する前に、一度冷静に内容を確認し、可能であれば別の弁護士など第三者の目を入れてもいいかもしれません。
表現が難しいところ、聞き慣れない言葉が多い契約書だからこそ、「よく分からないけど任せてしまった」では済まされないのです。
自分のキャリアと生活を守るためにも、納得したうえでの契約締結を心がけましょう。
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