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公開日:2026.2.13
企業法務プロ野球選手のグッズ製作・販売契約の締結と注意点
弁護士法人PROの弁護士 沢津橋信二です。
最近、球場に足を運ぶと、多くの観客は選手のユニフォームを着ていますし、ミニバットを叩きながら応援歌も歌っています。
また、選手の扇子やうちわを仰ぎながら試合を見ている人もいれば、選手のスマホケースを付けたスマホで写真や動画を撮っている人もいます。
また、近年は球団や選手も女性客を多く取り込みたいという思惑もあり(カープ女子やオリ姫等)女性を対象としたグッズも多く販売されています(カチューシャやネイル等)。
ファンが推し活となってグッズをたくさん買ってくれれば、収益だけではなく球団や選手それ自体が盛り上がるのです。
今回はプロ野球選手のグッズ製作・販売について、解説していきます。
プロ野球選手のグッズを製造・販売するパターンとしては球団が主体となって販売するパターンのみならず選手個人が主体となって販売するパターンもあります。
販売方法については主にライセンス方式と自前方式(球団や選手が自らグッズを製作し販売する)がありますが、本コラムではより一般的なライセンス方式に絞って説明していきたいと思います。
1.ライセンス方式とは
ライセンス方式とは、球団または選手(ライセンサー)が、第三者(ライセンシー)に対し、自己の氏名・肖像・サイン等の使用を許諾し、対価(ロイヤルティ)を受け取る方式をいいます。
ポイントは、球団や選手自身は製造・在庫・販売リスクを負わない、製作・販売は事業者(メーカー・出版社等)が担うという点にあります。
したがって、ライセンス方式は、リスクを抑えつつ、人気に応じた収益を得やすいといった特徴があります。
2.ライセンス契約の主要条項と注意点
(1)ライセンス対象となる権利
まず、契約対象となる権利を明らかにしなければなりませんが、プロ野球選手のグッズ販売では、次の権利が問題となります。
これらは法律上の「肖像権」や「パブリシティ権」として保護対象となりえます。
ここで注意すべきは、選手が自由にライセンスできる範囲について、球団・NPBの管理権と交錯する点です。
例えば、ユニフォーム姿・球団ロゴ・チーム名・試合中写真は、球団・NPB側の権利処理が別途必要になることが多く、「選手個人のライセンスだけでは足りない」というケースが少なくありません。
(2)ライセンスの範囲
これらは最重要事項の一つです。
必ず定義は定めましょう。曖昧な定義は、無断利用・権利侵害トラブルの温床になります。
(3)独占か非独占か
特定事業者のみライセンス使用を許諾するのか(独占)、それとも複数事業者にライセンス使用を許諾するのか(非独占)を明らかにしましょう。
特に、注意を要する点として、独占にする場合には、最低保証(ミニマムギャランティ)を設けないと、「売られない独占」になるリスクがあります。
上でも述べたように、グッズ販売はそもそもファンを獲得するために行われるのですから、グッズが売られないと意味がありません。
また非独占の場合は、複数業者による商品ジャンルのバッティングに注意しましょう。
(4)ロイヤリティ(対価)
ロイヤリティの定め方には、売上高×○%または販売数×○%という形で定められることが多いです。
チェックポイントとしては、計算基準が明確か(小売価格か卸価格か)、最低保証額があるのかどうか、支払い時期、支払い方法が明確かに注意を払う必要があります。
また、報告義務(販売報告書の提出)があると、球団や選手側としては安心するので、この点にも注意を払いましょう。
(5)品質管理・監修権
製作する側としては作った商品に口出しされるのは嫌なことかもしれませんが、球団や選手側としては自己のブランド価値を守る重要事項です。
監修権を入れないと、「勝手に作られたダサいグッズ」が出回ることもあるので、これは避けたいところです。
なので、可能な限り契約書に盛り込みたいところです。
したがって、デザイン事前承認条項があるのか否か、品質基準(低品質商品によるイメージ毀損防止)が保たれているかといった点に注意を払いましょう。
3.まとめ
以上、プロ野球選手のグッズ製作・販売契約の締結と注意点を解説しました。
グッズ販売契約は金額規模が比較的小さいからといって軽視はできません、ちりも積もれば山となりますし、球団や選手のブランド価値に長期的影響を与える契約でもあります。
ファンあってのプロ野球といった面がある以上は、グッズ製作・販売契約にはより一層の注意をしなければなりません。
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