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公開日:2026.6.19
企業法務女性活躍推進法の改正について――情報公表義務の拡大と企業に求められる対応
弁護士法人PROの弁護士 加田千捺です。
令和8年4月1日から、改正女性活躍推進法の一部が施行されています。
今回の改正では、 女性活躍推進法の有効期限が10年間延長されたほか、 男女間賃金差異や女性管理職比率に関する情報公表義務の対象が拡大されました。
特に、常時雇用する労働者数が101人以上の企業については、新たに対応が必要となる事項があります。
本コラムでは、女性活躍推進法の概要、今回の改正の背景とポイント、企業が確認しておくべき対応について解説します。
1.女性活躍推進法とは
女性活躍推進法とは、すべての女性が職業生活において、その個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために制定された法律です。
この法律では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に対し、女性の活躍に関する状況把握や課題分析を行った上で、一般事業主行動計画を策定し、公表することなどが義務付けられています。
一般事業主行動計画とは、企業が自社における女性の活躍状況を踏まえ、目標や取組内容を定める計画です。
具体的には、次のような流れで対応することになります。
2.なぜ改正されたのか
近年、女性の就業率は上昇しており、出産後も就業を継続する女性は増えています。
もっとも、出産・育児等を機に離職する女性はなお一定数存在し、再就職の際に非正規雇用となるケースも多く、現に、女性雇用者の半数以上は非正規雇用労働者となっています。
また、管理職以上に登用されている女性の割合は2割程度と低い水準にあり、男女間の賃金差異も、他の先進国と比較すると依然として大きい状況にあります。
今回の改正は、女性の活躍推進の取組を一時的なものに終わらせず、国、地方公共団体及び企業における実効的な取組を着実に進めるためのものと位置付けられます。
3.今回の改正で何が変わる?
今回の改正の主なポイントは、次の5点です。
1つ目は、「男女間賃金差異」の情報公表義務の対象が拡大されたことです。
「男女間賃金差異」とは、男性労働者の賃金を100%とした場合に、女性労働者の賃金がどの程度の水準にあるかを示すものです。
これまで、「男女間賃金差異」の公表義務は、主に常時雇用する労働者数が301人以上の企業を対象としていました。
今回の改正により、常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業についても、「男女間賃金差異」の公表が義務付けられました。
なお、公表に当たっては、全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の区分ごとに示す必要があります。
2つ目は、「女性管理職比率」の情報公表が義務化されたことです。
常時雇用する労働者数が101人以上の企業では、新たに「女性管理職比率」の公表も義務付けられました。
ここでいう管理職とは、課長級及び課長級より上位の役職の者をいいます。
3つ目は、女性の健康上の特性への留意が明確化されたことです。
女性については、ライフステージに応じた健康上の特性(月経、更年期等に伴う就業上の課題)が、就業継続やキャリア形成に影響することがあります。
そのため、今回の改正では、女性の職業生活における活躍の推進は、女性の健康上の特性に留意して行われるべき旨が基本原則(法2条)に明記されました。
4つ目は、ハラスメント対策が事業主の取組事項として明確化されたことです。
政府が策定する「女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針」において、ハラスメント対策が、事業主の実施すべき基本的な事項の一つとして明記されました。
また、特に優良な事業主を認定する「プラチナえるぼし」の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置の内容を公表していることが追加されました(令和8年10月1日施行)。
5つ目は、法律の有効期限が延長されたことです。
女性活躍推進法は、もともと令和8年3月31日までの時限立法でしたが、今回の改正により、令和18年3月31日まで10年間延長されました。
4.企業が確認すべき対応
今回の改正により、常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の企業では、特に新たな対応が必要となります。
具体的には、まず、「男女間賃金差異」及び「女性管理職比率」について、初回公表の時期を確認する必要があります。
初回の情報公表は、改正法の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に行うこととされています。
例えば、3月決算の企業であれば、令和8年4月1日以降に最初に終了する事業年度は令和9年3月期となるため、令和9年度開始後おおむね3か月以内である令和9年6月末までに公表する必要があります。
加えて、その後も、おおむね1年に1回以上、最新の数値を公表する必要があります。
情報公表の方法としては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」を利用する方法や、自社ホームページに掲載する方法などが考えられます。
5.まとめ
今回の女性活躍推進法の改正は、女性活躍に関する企業の取組を可視化し、より実効的な対応を促すものです。
情報公表は、求職者や取引先から見た企業の姿勢を示す要素にもなり得ます。
そのため、企業としては、改正内容を正確に理解した上で、 必要な情報を集計する体制や情報公表の方法を確認し、一般事業主行動計画の策定準備を早めに進めておくことが望ましいといえます。
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