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弁護士コラム
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公開日:2022.7.1
企業法務意匠の概要について
弁護士法人PROの弁護士の松永圭太です。
今回は「意匠の概要」について取り上げます。
1.意匠とは?
皆様は、意匠という言葉を聞いたことはありますか。
意匠とは、デザインのことを指し、意匠を保護する法律が意匠法になります。
しかし、デザインであれば、何でも意匠として保護されるわけではなく、「具体的な物品・建築物・画像に関するデザイン」でなければなりません。
そして、意匠は特許庁で登録されて初めて意匠権という権利が与えられます。
なお、令和元年5月に意匠法が改正されるまで、意匠は「物品」(有体物である動産)のデザインが対象とされていました。
そのため、①不動産である建築物(外観・内装)、②有体物ではない画像は、意匠の対象外となっていました。
しかし、①建築物については、近年、空間のデザインを重視する観点から、企業や店舗の外観・内装に多額の投資を行った上で、特徴的な工夫を凝らすことで、ブランド価値を創出する事例が増えてきました。
そのため、建築物の外観・内装を意匠として保護する必要性が高まっていました。
また、②画像については、近年、インターネットに接続してユーザーがアプリやウェブサイトを使用した際にのみ画像として表示されるウェブデザインに、多額の投資を行った上で、より使いやすいウェブデザインがの開発が進められています。
そのため、画像を意匠として保護する必要性が高まっていました。
そこで、このような時代の流れに即して、令和元年に意匠法が改正され、物品に加えて、建築物(外観、内装)、画像に関するデザインも意匠の対象となるようになりました。
2.意匠の具体例
(1)物品
物品については、例えば、自動車(※1)のデザイン、容器(※2)のデザインなどが登録されています。
※1 自動車(レクサス)(この意匠の他にも様々なシリーズのデザインが登録されています)
※2 鶏卵容器
(2)建築物
建築物として登録された例として、駅舎(※3)のデザインなどがあります。
※3 駅舎(上野駅公園口駅舎)
また、内装として登録された例として、書店の内装(※4)のデザインなどがあります。
※4 書店の内装
(3)画像
画像の意匠として登録された例として、決済情報表示画像(※5)のデザインやアイコン用画像(※6)などがあります。
※5 決済情報表示画像
※6 アイコン用画像
3.意匠登録のメリット
(1)自分の意匠と紛らわしい意匠が使用されるのを防ぐことができる
意匠権の効力が及ぶのは、登録された形状等(デザイン)と同一又は類似のもので、かつ、登録された物品等と同一又は類似のものです(以下の表の〇は意匠を独占的に使用できます)。
意匠権の効力が及ぶ範囲 | 形状等(デザイン) | |||
同一 | 類似 | 非類似 | ||
物 品 等 |
同一 | ○ | ○ | × |
類似 | ○ | ○ | × | |
非類似 | × | × | × |
自社の意匠と同一又は類似の意匠を独占的に使用できますので、他社によるデザインのコピーを防ぎ、市場で優位に立つことができます。
(2)権利化までの期間が短く、保護期間が長い
意匠登録は、出願書類が願書と図面のみで、出願から登録までの期間が平均約6か月と特許、商標と比べて短いので、早く権利化することができます。
また、登録された意匠の有効期間は、特許庁に出願した日から25年間ですので、特許(特許庁に出願した日から20年)と比べて保護期間が長くなります。
(3)ライセンス収入
自社の登録意匠を使用したい事業者がいた場合、ライセンス契約を結ぶことでライセンス収入を得ることもできます。
デジタル技術の進展によって、デザイン保護の重要性は高まっています。
この機会に、自社の物品等のデザインについて意匠登録を考えてみてはいかがでしょうか。
以上
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