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弁護士コラム
Column
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公開日:2022.10.28
企業法務商品・サービス(役務)の類似性判断について
弁護士法人PROの弁護士の松永圭太です。
今回は、商標における「商品・サービス(役務)の類似性判断」について取り上げます。
1.はじめに
商品の類似とは、Aという商品とBという商品を比べてみて、これら2つの商品に「同一又は類似の商標を使用すると需要者が出所を混同するおそれがあること」を言います。
同様に、サービス(役務)の類似とは、Aというサービス(役務)とBというサービス(役務)を比べてみて、これら2つのサービス(役務)に「同一又は類似の商標を使用すると需要者が出所を混同するおそれがあること」を言います。
今回取り上げる「商品・サービス(役務)の類似性判断」は、登録商標と出願した商標が同一又は類似であること(※)を前提に、出願した商標の商品・サービス(役務)が、既に登録されている他の商標の指定商品・指定役務と同一又は類似の場合、商標登録を受けられないという意味で重要です。
そこで、商標を出願するに当たっては、出願しようとする商標と登録商標との類似性に加えて、出願しようとする商標の商品・サービス(役務)が、既に登録されている他の商標の指定商品・指定役務と類似していないかどうか、予め確認しておくことが重要です。
※ 商標の類似性判断については、弁護士コラム「商標の類似性判断について」をご参照下さい。
2.商品・サービス(役務)の類似性判断
(1) 審査基準
特許庁が公表している商標審査基準によれば
以下では、類似商品・役務審査基準(※)に基づいて、商品・サービス(役務)の類似性判断について説明します。
※ 国際分類第11-2022版対応(令和4年1月1日適用)
(2) 商品同士
ただし、あくまで「類似の例」であって、実際の審査では、具体的な取引の実情によって「類似」と判断されない場合もあれば、逆に「非類似」と区分されているものであっても「類似」と判断されることがあり得ます(サービス(役務)同士、商品とサービス(役務)についても同様です)。
(3) サービス(役務)同士
その他にも、
・ 「預金の預け入れ」と「外国為替取引」は、④業種が同じ、⑤業務や事業者を規制する法律が同じ、⑥同一の事業者が提供に該当する
・ 「生け花の教授」と「和裁の教授」は、①提供の手段、目的又は場所の一致、③需要者の範囲の一致、⑥同一の事業者が提供に該当する
と考えられ、類似の例として挙げられています。
(4) 商品とサービス(役務)
類似商品・役務審査基準に示されている例としては
・ 商品「かばん類、袋物」と役務「かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
・ 商品「印刷物」と役務「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
など、小売・卸売業務と当該業務で取り扱う商品という関係にある場合等が挙げられています。
3.おわりに
せっかく商標を出願しても、商標登録がされなければ意味がありません。
そのため、出願しようとする商標の商品・サービス(役務)が、既に登録されている他の商標の指定商品・指定役務と類似していないかどうか、上記基準を基に確認しておく必要があります。
しかし、商品・サービス(役務)の類似性判断は、時に難しい判断が伴います。
当事務所には、業務提携先の特許事務所がございますので、商品・サービス(役務)の類似性判断に関し疑問がございましたら、ぜひともご連絡下さい。
以上
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