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公開日:2023.1.13
人事・労務【名古屋/外国人/ビザ】企業が外国人を雇用するときのポイント
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
日本の少子高齢化は深刻であり、人口減少や労働力不足にダイレクトに影響しています。
人材不足の影響から日本における外国人労働者は増加傾向にあり、現に、人材不足に悩み外国人の雇用を開始する企業は多いです。
外国人を雇用する際には、外国人特有のチェックポイントがあります。これを意識せずに外国人を雇用すると、知らず知らずのうちに不法就労助長罪などの罪を犯してしまう可能性があります。
このコラムでは、企業(特に中小企業)が外国人を雇用する際のおおまかな流れをご紹介するとともに、企業が注意すべきポイントを解説します。
外国人雇用を検討している場合、ぜひ弊所へお気軽にご相談ください。
弁護士へ依頼することで、雇用契約書の作成、労働環境の整備や在留資格申請が却下された場合の行政訴訟など、外国人雇用に関する問題をワンストップで解決できます。
1.外国人の採用パターン
外国人を採用する主なパターンは、①留学生を採用、②転職者の受け入れです。
①は、「留学」の在留資格を有している留学生を採用する方法です。日本人の新卒の学生を採用するイメージです。
②は、既に何らかの在留資格を有し他社で就労している外国人を雇用する方法です。
両者とも日本人の労働者を雇用する流れと似ていますが、外国人の場合は出入国管理局で在留資格の手続が必要です。
他にも、身分系の在留資格(ex「永住者」「日本人の配偶者等」)を有している外国人を採用する、海外の子会社の人材を受け入れるといった方法もあります。
2.在留カードを確認する
外国人の面接では、まずは在留カードを確認しましょう。旅行客を除き、日本に滞在する外国人は在留カードの取得・所持が義務付けられていますから、必ず確認できます。
在留カードを確認する際は、最低限、①在留資格、②在留期間(満了日)の2つをチェックします。
在留資格は29種類あります(特例を含めるとさらに増えます)。
それぞれの在留資格ごとに日本で行える活動が決められており、在留資格に対応する活動以外は行えないことになっています。
例えば、「留学」の在留資格であれば大学等で教育を受ける活動、就労ビザとしてポピュラーな「技術・人文知識・国際業務」の在留資格であれば法律学、経済学、社会学その他人文科学分野の知識・技術を要する業務(いわゆる“ホワイトカラー”)や外国の文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務(通訳、翻訳)しか行えません。
確認を怠り不法残留者や不法入国者を雇用してしまうと、不法就労助長罪という犯罪に該当してしまうリスクがあります。他にも、就労許可の有無や前職を退職してからの空白期間の有無など採用面接の際に注意すべき点はたくさんあります。
これについては別の記事で詳しく解説します。
3.入管へ申請する
外国人を採用することが決まったら、最寄りの出入国管理局で在留資格の申請を行います。
企業側に意識していただきたい点が、審査される対象は外国人ではなく外国人を雇用する企業側である、ということです。
外国人の審査は、学歴や実務経験の要件を満たしていれば、犯罪歴等がないかぎりクリアできます。
対して、企業は非常に厳しくチェックされます。
審査の主な視点は継続性と安定性です。
したがって、大企業や設立してから長い年月が経っている企業の方が審査をクリアしやすいです。
現に、就労ビザとして多く用いられる「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の申請においては、入管庁は企業をカテゴリー1~4に区分しています。
カテゴリー1 |
・上場企業 |
カテゴリー2 |
・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収額が |
カテゴリー3 |
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体、個人 |
カテゴリー4 |
・カテゴリー1~3のいずれにも該当しない団体、個人 |
カテゴリー毎に入管へ提出する書類が異なり、カテゴリー1や2だと、四季報の写しや源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるもの)の写しなどの基本的な書類のみで申請できます。申請から2週間程度で結果が出ます。
カテゴリー3、4になると、企業の事業内容を明らかにする資料(exパンフレット、自社HPをプリントアウトしたもの)や決算書の写しなど、詳細かつ多くの資料を提出しなければなりません。申請から結果が出るまで1ヶ月以上かかることが多いです。
さらに、カテゴリー1or2であれば許可される在留期間は「5年」「3年」といった長期となり易いですが、カテゴリー3or4だと「1年」のケースが多いです。
許可される在留期間が短いと、それだけ更新手続の頻度が増加しますので、企業にとっても外国人にとっても負担が増えます。
中小企業の多くはカテゴリー3or4に該当します。
事業年度が2期以上であればカテゴリー3、設立後間もない企業であればカテゴリー4となります。
4.就労させるのは在留資格の許可を得てから
前述のとおり、それぞれの在留資格には対応する活動が法定されており、逆にいえば、就労内容に対応する在留資格が無ければ、不法就労となってしまいます。
そのため、採用し雇用契約を締結したとしても、実際に就労させられるのは在留資格の許可を得た後となります。
外国人を雇用する際は、在留資格の申請手続に要する時間も見据え、時間に余裕をもって準備を進める必要があります。
5.まとめ
今回は、企業が外国人を雇用する際の大まかな流れと注意すべきポイントをご紹介しました。
外国人を雇用する場合、在留資格の確認や申請手続は避けては通れません。
これらを怠ると、外国人はもちろん、就労させた企業側も罪を犯してしまう可能性があります。
外国人雇用を検討している方は、お気軽に弊所へご相談ください。
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