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公開日:2023.5.12
人事・労務【名古屋/外国人/ビザ】副業する外国人を受け入れられる?本業のある外国人を副業・委託・アルバイトで受け入れる際の注意点
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
人材不足の影響から日本における外国人労働者は増加傾向にあり、働き方改革により副業が解禁されたため外国人材も副業を行うケースが増えてきました。
企業側としても、自社で外国人材を雇用するよりも副業や一時的な委託先として受け入れる方が簡便でリスクも少ないためニーズが増加しています。
もっとも、副業、委託、アルバイトであっても入管法や在留資格の規制は無視できません。
今回は、副業する外国人材を受け入れる場合や、外国人材へ委託する場合の注意点をご紹介します。
自社で雇用する際のポイントはこちらをご覧ください。
外国人雇用を検討している場合、ぜひ弊所へお気軽にご相談ください。
弁護士へ依頼することで、雇用契約書の作成、労働環境の整備や在留資格申請が却下された場合の行政訴訟など、外国人雇用に関する問題をワンストップで解決できます。
1.就労ビザの職種の範囲内であればOK
外国人材が保有している就労ビザの職種と副業が同じであれば、副業や委託が可能です。
就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「高度専門職」など様々な種類があります。
受け入れようとする外国人材が保有している在留資格を必ずチェックしましょう。
基本的に、就労ビザはホワイトカラーを想定しています。
ブルーカラー、給仕、接客等の現業は就労ビザの職種の範囲外となりますから、副業や委託によりこれらの職種に従事させることはできません。
なお、就労ビザの中でも「経営・管理」の場合、副業や委託はできません。
「経営・管理」で認められる就労は自社の運営のみですから、他社での副業やアルバイトは在留資格の範囲外となってしまいます。
2.職種が異なるor就労ビザを持っていない場合は資格外活動許可
就労ビザを持っているが本業と副業の職種が異なる場合や、就労ビザをもっていない場合(ex「留学」「家族滞在」)は、資格外活動許可を得ることで副業や委託が可能です。
資格外活動許可の申請は外国人が行うことになります。
資格外活動許可には包括的な許可と個別的な許可の2パターンがあります。
どちらのパターンにも就労できる職種の範囲や就労時間に制限がありますので、資格外活動許可を得た外国人材を副業やアルバイトとして受け入れる際は、必ず許可の条件をチェックしましょう。
留学生が取得していることが多い包括的資格外活動許可では、全ての就労先を合わせての就労時間が週28時間以内でなければならないとの条件があります。
留学生へ業務委託やアルバイトをさせる場合は、契約書等に就労時間を明記しておくことが重要です。
3.上記ポイントを守っていない企業には犯罪が成立
在留資格の職種の範囲外の就労をさせた場合や、資格外活動許可を得ていない外国人を就労させるor許可の条件に違反して就労させた場合は、企業に不法就労助長罪が成立し、外国人本人のみならず企業も罰せられてしまいます。
副業、委託、アルバイトとして一時的に仕事を依頼しているのみであったとしても処罰の対象になります。
【東京高裁平成5年9月22日判決】
入管法73条の2第1項1号は、単に「外国人に不法就労活動をさせた者」と規定しているにすぎず、処罰対象を特定の身分のある者に限られるとするなど、限定して解釈しなければならないとは考えられないから、本罪の行為主体にはおよそ限定は付されない。
この判決から明らかなように、不法就労助長罪の対象である「不法就労活動をさせた者」は、非常に広く解釈されています。
自社で雇用していないからといって、入管法や在留資格の規制とは無関係ではいられないのです。
4.身分系ビザの場合は制限なし
「永住者」「日本人の配偶者等」の身分系ビザを持つ外国人には就労制限が課されていません。
職種の制限も就労時間の制限もないため、副業や委託は自由に行えます。
今回は、副業する外国人材を受け入れる場合や外国人材へ業務委託する場合の注意点をご紹介しました。
自社で雇用せず、一時的に副業や委託先として外国人材を採用する場合であっても、入管法や在留資格の規制は無視できません。
注意を怠ると、外国人はもちろん、就労させた企業側も不法就労助長罪や資格外活動幇助罪を犯してしまう可能性があります。
外国人材の採用を検討している方は、お気軽に弊所へご相談ください。
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