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公開日:2023.9.8
人事・労務【名古屋/外国人/ビザ】特定技能とは?技能実習との違いや企業側のメリット・デメリットを解説
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
人材不足の影響から日本における外国人労働者は増加傾向にあり、2019年からは新たに「特定技能」の在留資格が創設され、現在では多くの企業が「特定技能」の在留資格を持つ外国人材を雇用しています。
今回は、新しい在留資格である「特定技能」とはどのような在留資格なのか、企業側のメリット・デメリットや「技能実習」との違いを説明します。
外国人雇用を検討している場合、ぜひ弊所へお気軽にご相談ください。
弁護士へ依頼することで、雇用契約書の作成、労働環境の整備や在留資格申請が却下された場合の行政訴訟など、外国人雇用に関する問題をワンストップで解決できます。
1.特定技能とは
「特定技能」は、2018年の入管法改正により創設された新しい在留資格で、2019年から施工されています。
「特定技能」が創設された目的は、国内人材の確保が困難な産業分野(ex介護、建設、農業、宿泊、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)において、一定の専門性と技能を有する外国人を受け入れ、国内の人手不足を解消することにあります。
技能水準や日本語能力水準を満たすことを証明するため、「特定技能」を取得する予定の外国人は、あらかじめ試験に合格する必要があります。
なお、当該外国人が「 技能実習2号」を良好に修了した場合、試験は免除されます。
従来、現業を可能とする就労ビザは「技能実習」がメインであり、技能実習生を受け入れている企業は現在も多くあります。
新しく「特定技能」が創設されたことで、今後は、現業を行わせる場合は「技能実習」ではなく「特定技能」が主流になっていくものと予想されます。
2.特定技能の外国人材数は年々増加している
出入国在留管理庁の統計データによれば、「特定技能」で在留する外国人は年々増加しています。
出典:特定技能在留外国人数の公表 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
「特定技能」の外国人数が増えているということは、それだけ「特定技能」の外国人を雇用している企業も増えていることを意味します。
日本全体で見ても「技能実習」から「特定技能」への移行が進んでいるといえるでしょう。
3.企業側のメリット
「特定技能」の外国人を雇用する企業側のメリットを紹介します。
① 即戦力が期待できる
「特定技能」を取得するためには、技能実習2号を良好に修了する or 技能試験・日本語能力試験に合格する必要があります。
そのため、「特定技能」の外国人は、能力がある程度担保されているため
即戦力として雇用できます。
② 人手不足を解消できる
「特定技能」の創設目的は“日本の人手不足解消”にあります(後述しますが、この点が「技能実習」との大きな違いです)。「特定技能」の外国人材を活用することで、人手不足解消を図れるでしょう。
また、「特定技能」を取得する外国人は、20代~30代の若年層が多い傾向にあります。若手人材の確保も望めます。
③ 長期間の雇用が可能
「技能実習」の場合、1号は1年、2号は2年、3号は2年の合計5年が、在留を認められる最長期間です。
かつ、「技能実習」を修了or移行試験に合格できなかった場合は本国に帰国するほかありません。
これに対し、「特定技能」であれば、1号は最長で5年、2号へ移行できれば上限なく在留できます(※更新手続は必要です)。
そのため、「特定技能」の方が、長期間の雇用が望めます。
4.企業側のデメリット
続いて、企業側のデメリットを紹介します。
① 日本人労働者と同等以上の給与が要求される
「特定技能」の外国人に対しては、自社にて同種業務を行う日本人労働者と同等以上の給与を支払う必要があります。
「技能実習」よりも給与が高額になるケースが多いので、企業側の人件費は増加してしまいます。
② 登録支援機関へ支払う費用も発生する
「特定技能」の外国人を受け入れるためには、 自社にて外国人を支援する体制があることが要件となります。
しかし、多くの企業ではそのような体制は完備されていないので、登録支援機関(「技能実習」でいう監理団体のようなもの)へ支援を委託することになります。
委託する以上は、登録支援機関へ支払う費用も発生します。
この点も、企業側のコストを増やしてしまうためデメリットといえます。
5.技能実習との違い
最も大きな違いは、 目的です。
「技能実習」の目的は、外国人が“実習生”として日本で技術を学び、学んだ技術を本国に持ち帰って本国の発展につなげる国際協力にあります。
これに対し、「特定技能」の目的はストレートに「 日本の人手不足解消」にあります。
「技能実習」制度それ自体に対しては国内外から批判の声もあるところですが、「特定技能」は人手不足解消を目的としており、 日本人と同等以上の給与も保証されているので、大きく批判されることはありません。
昨今は企業に求められるコンプライアンスや倫理観が厳しくなっていますので、批判の対象となりにくい「特定技能」の外国人数が増加しているのかもしれません。
6.まとめ
今回は、新しい在留資格である「特定技能」について解説しました。
「特定技能」は、人手不足解消の有力な手段となります。
もっとも、「特定技能」の外国人を雇用するためには、 一般的な就労ビザとは異なる特有の手続きが必要なり、許可されるための難易度は高くなります。
就労ビザの申請方法にお悩みの方は、お気軽に弊所へご相談ください。
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