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公開日:2024.2.16
企業法務海外企業との契約書(英文契約書)におけるテンプレ条項・注意点|その2
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
ビジネスのグローバル化が進んでおり、今や多くの企業が海外企業との取引を行っています。
取引の増加に伴い、海外企業との間で紛争が発生することも増えています。
海外企業との取引においては、国内企業同士の取引よりも更に契約書の重要性が高まります。
海外では英米法の思考(=契約書に書いてあることが全てであり、書いていないことは契約に含まれない)が
主流であるため、海外企業と締結する契約書は、分量が多く、かつ、詳細な規定が設けられることが多いです。
今回は、海外企業と締結する契約書に記載されることの多いテンプレ(一般条項)について解説します。
テンプレ条項はどのような類型の取引でも契約書に規定されていることが多いですから、
これらのポイントを押さえておくだけでも契約書のチェックを効率的に行えます。
国際取引でお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.テンプレ条項(一般条項)とは
どの類型の契約にも同じように規定される条項が、一般条項と呼ばれるものです。
日本企業同士の日本語で作成される契約書であれば、裁判管轄や協議事項が一般条項に当たります。
英文契約書では、General ProvisionsやMiscellaneousといった標題が付され、契約書の最後の方にまとめて規定されることもあります。
一般条項についての詳しい説明や今回ご紹介するもの以外のテンプレ条項の例は、
弁護士コラム「海外企業との契約書(英文契約書)におけるテンプレ条項・注意点|その1」をご覧ください。
2.英文契約書におけるテンプレ条項の例(その2)
(1)責任限定・賠償額の上限
契約においてこの規定が無いと、想定よりも高額の賠償責任を負うリスクが高くなるので、
契約書に盛り込まれているケースが多いです。
特に、商品やサービスを提供し代金を受領する売主側にとっては不可欠な規定といえます。
反対に、代金を支払う買主側からすると、過度な限定が設けられていると
請求できる損害賠償額が低額になるリスクがあります。
売主目線で英文契約書へ記載すると、例えば下記のような記載になります。
責任限定条項は双方にとり重要であるため全て大文字で記載されることが多いです。
日本語訳
反対に、買主目線では、そもそも責任限定条項の削除がベストです。
とはいえ、ビジネスの交渉の中で譲歩の必要性も出てくるでしょうから、ある程度譲歩した形で
英文契約書へ記載すると、例えば下記のような記載になります。
日本語訳
(2)契約期間・更新条件
契約には契約期間が設けられます。
また更新の条件も定められることが多いです。
相手方との関係性やビジネスの内容に応じ、契約期間や更新条件を決めることになります。
日本語の契約書でも、長期的に関係性を継続する場合は“満了日の3カ月前までに異議が述べられない場合は同条件で更に1年間延長する”といった規定が設けられるケースが多いです。
契約期間1年間・自動更新ありの規定を英文契約書に記載すると、例えば下記のような記載になります。
Term of Agreement
This Agreement shall take effect as of the date first above written and shall continue to be effective for year. Unless either Party notifies the other in writing of its intention to terminate or modify this Agreement at least thirty days before the expiration date, this Agreement shall be automatically extended under the same conditions for year, and the foregoing shall apply to the extended terms.
日本語訳
契約の有効期間
本契約は、頭書の日付において効力を発し、1年間有効に存続する。3.まとめ
今回は、海外企業との契約書における一般条項について、そのうちのいくつかをご紹介しました。
多くの契約書では一般条項が共通して設けられているため、一般条項の種類やポイントを把握しているだけで
英文契約書のチェックを効率的に行えます。
弁護士コラム「海外企業との契約書(英文契約書)におけるテンプレ条項・注意点|その1」でも
他の一般条項の記載例をご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
海外企業との国取引に不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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