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公開日:2024.3.15
企業法務英文契約書でよく用いられる表現・基本的な型|その1
弁護士法人PROの弁護士の柏木太郎です。
ビジネスのグローバル化が進んでおり、今や多くの企業が海外企業との取引を行っています。
取引の増加に伴い、海外企業との間で紛争が発生することも増えています。
海外企業との取引においては、国内企業同士の取引よりも更に契約書の重要性が高まります。
海外では英米法の思考(=契約書に書いてあることが全てであり、書いていないことは契約に含まれない)が主流であるため、海外企業と締結する契約書は、分量が多く、かつ、詳細な規定が設けられることが多いです。
今回は、英文契約書でよく用いられる表現法を解説します。
どのような類型の取引でも契約書に規定されていることが多いですから、基本的なポイントを押さえておくだけでも契約書のチェックを効率的に行えます。
国際取引でお悩みであれば、弊所へお気軽にご相談ください。
1.権利を示す表現
契約書に定められる内容の中でも特に重要な点は、自社の権利です。
自社の権利に関する規定が不十分だと、ビジネスを成功に導くことが困難になってしまいます。
英文契約書において権利を示す表現としてよく用いられるのが下記のようなものです。
≪例≫
may
●●(契約当事者)+ be entitled to + ■■(動詞)+・・・・・
have the right
訳:●●は、■■する権利がある/■■することができる
2.義務・責任を示す表現
自社の義務や責任も、非常に重要です。
日本語の契約書も同様ですが、契約書は自社及び相手方の権利と義務(責任)を定めたものです。
契約書において自社の義務がどう規定されているのか正しく理解しておかないと、想定よりも大きな損害を被ったり、知らないうちに契約違反を犯してしまうリスクがあります。
≪例1≫
●●(契約当事者)+ shall +■■(動詞)+・・・
be obliged
訳:●●は、■■しなければならない/■■する義務を負う
≪例2≫
●●(契約当事者)+ be responsible for ・・・
訳:●●は、・・・について責任を負う
3.例外を示す表現
日本語の契約書にも共通しますが、「~を除く」「~でない限り」といった例外は契約書の中でも目立つ部分です。
日本語の契約書だと、こういった例外はただし書きで記載されることが多いです。
英文契約書では、日本語の契約書と同様に規定の後半でただし書のように記載されることもあれば、文頭に例外が記載されることもあります。
他の部分で自社の権利や相手方の義務が記載されていても、例外規定で大幅にそれらが制限されていることもありますので、油断せずチェックしましょう。
≪例1≫
except for ・・・・・
except where
訳:~を除く
≪例2≫
unless ・・・・・
訳:~でない限り
実際に契約書に例外規定を記載しようとすると、例えば下記のようになります。
≪例3≫
Unless expressly provided for in this License Agreement, the termination of the Licensed Rights by one of the parties shall not entitle the other party to any indemnification or damages.
訳:本ライセンス契約に明示的に規定されている場合を除き、一方当事者がライセンス権を終了しても、他方当事者は補償または損害賠償を受ける権利を有しないものとします。
4.ただし書を示す表現
日本語の契約書でいうところの“ただし書”と同じ働きをするのが、「however」です。
契約書チェックの際の視点は前述の“例外”と同様ですが、「however」の方が、より重大な内容が記載されているケースが多いです。
特に、賠償責任を限定したり代金の上限を定める際に「however」が用いられることが多い印象があります。
そのため、契約書の中で「however」が出てきた際は要注意です。
≪例≫
・・・provided,however, that the limitation of liability above shall not apply to damages caused due to gross negligence or willful misconduct of the indemnifying party.
訳:ただし、責任制限は、補償する当事者の重過失又は故意によって生じた損害については適用されない。
5.優先関係を示す表現
契約のうちのある内容を他の内容に優先させる表現として、「notwithstanding」という文言が用いられることがあります。
「notwithstanding」の後に記載される内容が優先されることになりますので、基本的には「notwithstanding」の後の文言に着目しましょう。
優先関係を正しく理解しておかないと、自社が想定していた内容と全く異なる内容で契約を締結してしまうおそれがあるので注意が必要です。
≪例≫
Notwithstanding the above provision,・・・
訳:上記の規定にかかわらず、・・・
今回は、英文契約書で用いられることの多い基本的な表現や型のいくつかをご紹介しました。
ここで紹介した基本的な表現を理解しているだけで英文契約書のチェックを効率的に行えます。
今回ご紹介したものの他にも基本的な表現・型があります。
こちらについては別の記事(その2)でご紹介しますので、是非ご覧ください。
海外企業との国際取引に不安を感じている場合は、お気軽に弊所へご相談ください。
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