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公開日:2026.5.15
人事・労務外国人をドライバーとして雇用するには?特定技能「自動車運送業」の要件を解説
弁護士法人PROの弁護士 柏木太郎です。
人口減少等の影響で人手が不足しており、特に運送業界では深刻度が増す一方です。
このような状況を外国人労働者により改善すべく、特定技能に「自動車運送業」が設けられました。
今回は、外国人をドライバーとして雇用するための要件やポイントをご紹介します。
企業が外国人を雇用するための手続の詳細はこちら
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1.なぜ「自動車運送業」が特定技能に追加されたのか?
自動車運送業界に限らず、日本社会全体が直面している少子高齢化と生産年齢人口の減少により人手不足が深刻化しています。
特に運送業は労働集約型の産業であるため、人口構造の変化が直接的な打撃となっています。
また、物流・運送業界の「2024年問題」も追い打ちをかけています。
2024年4月から働き方改革関連法によりドライバーの時間外労働時間に年間960時間の上限が課されたことで、1人当たりの走行距離が短くなり、これまでと同じ輸送量を維持するためにはより多くのドライバーが必要となりました。
長距離輸送の制約や売上・収入の減少も懸念されており、業界全体が大きな転換期を迎えています。
このような状況を受け、政府は外国人ドライバーを「特定技能1号」として受け入れる方針を打ち出しました。
2.特定技能「自動車運送業」の3つの区分
外国人が日本で就労するためには、いわゆる「就労ビザ」が必要です。
「特定技能1号」も就労ビザのひとつです。
自動車運送業分野の特定技能1号には、業務内容に応じて以下の3つの区分が設けられています。
①トラック運転者区分
一般貨物自動車運送事業または、特定貨物自動車運送事業における運行業務や荷役業務(荷物の積み降ろし業務)に従事します。
②タクシー運転者区分
一般乗用旅客自動車運送事業において、運行業務や接遇業務に従事します。
接客を伴う業務であるため、日本語能力や日本の交通マナーへの理解が特に重要になります。
③バス運転者区分
一般乗合旅客自動車運送事業(路線バス)、一般貸切旅客自動車運送事業(観光バス)、特定旅客自動車運送事業(送迎バスなど)における運行業務や接遇業務に従事します。
3.外国人ドライバーが満たすべき要件
外国人が特定技能「自動車運送業」として働くには、外国人ドライバーと雇用する企業が以下の要件をすべて満たした上で、在留資格の申請を行わなければなりません。
(1)外国人ドライバーの要件
①技能評価試験への合格
「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
特定技能の業務分野に応じた学科試験と実技試験から構成されます。
②日本語能力の証明
日常会話や業務上のコミュニケーションに支障がないことを証明するため、日本語能力試験(JLPT)などの日本語試験への合格も求められます。
③日本の運転免許の取得
外国人ドライバーが日本で業務に就くためには、日本の運転免許を取得していることが前提です。
母国の免許を持っていても、日本の道路交通法に基づく免許を改めて取得する必要があります。
この免許取得を支援する仕組みとして、在留資格「特定活動(特定自動車運送業準備)」の受付も開始されています。
この特定活動では、自動車教習所への通所、新任運転者研修の受講(タクシー・バスの場合)、車両の清掃等の関連業務に従事することができます。
在留期間内(トラックは6カ月、バス・タクシーは1年)に免許を取得しなければなりません。
(2)企業側(受入機関)の要件
①運転者職場環境良好度認証制度への登録
外国人ドライバーを雇用する企業は、国土交通省が推進する「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を取得する必要があります。
これは運送業界の労働環境改善を目的とした認証であり、外国人雇用の前提条件となっています。
②安全性優良事業所の認定(トラック区分の場合)
トラック運送業の場合、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所(Gマーク)」の取得が必要です。
Gマークは、事故や法令違反が少なく、安全管理の水準が高い事業所に与えられる認定です。
③特定技能協議会への加入
国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員となることが義務付けられています。
この加入手続は在留資格申請前に完了している必要があり、申請の書類として提出することが求められます。
手続きには1か月程度かかることもあるため、余裕をもって進めることが重要です。
④新任運転者研修の実施(タクシー・バス区分の場合)
タクシーまたはバス運送業の受入企業は、雇用内定した外国人に対して雇用前に新任運転者研修を実施する義務があります。
⑤1号支援計画の策定
受入企業は、外国人ドライバーの職務・日常生活・社会生活をサポートする「1号支援計画」を策定しなければなりません。
サポートは外国人が理解しやすい言語(母国語など)で行う必要があります。
4.まとめ
今後、ますます人手不足が深刻化する日本において、外国人ドライバーは増加していくでしょう。
外国人ドライバーを雇用するためには、在留資格「特定技能」を取得する必要があります。
また、雇用した後も、労働基準法等の法令の遵守はもちろん、言語や文化の違いへの配慮も必要になります。
当事務所は人手不足に悩む企業様へ向け、特定技能をはじめ在留資格の取得や雇用後の労務問題の支援に積極的に取り組んでいます。
法的観点のみならず経営者のマインドを理解・共感したサポートを行い、早いレスポンスでビジネスのスピード感を損なわせずに対応しています。
弁護士の活用を検討している運送事業者の皆様は、ぜひ当事務所へお気軽にご連絡ください。
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